森に囲まれた環境学習空間

サステナブルデザイン|TTC Shimoyama 環境学習センター

FEATURES01

敷地内間伐材でつくる木造建築

現地に残る里山を中心とする希少な自然環境をフィールドとした環境学習のための施設です。企業所有林である敷地内林の環境整備のために間伐が行われており、その副産材である木材を利用して木造木質建築をつくりました。丸太の木材を出来るだけシンプルに近場で製材することで、運搬や加工手間を最小限に抑え、製材過程も含めた環境配慮の木材活用を行いました。

敷地内林の環境整備として行われる間伐材を建材に利用

周囲にひろがる環境学習フィールドの拠点となる建築

FEATURES02

間伐材の価値を高めるデザイン

山林所有者にとって間伐材は価値を見出しづらく、持続的な間伐による健全な森林を維持していく上での課題点となっています。その課題に対し、複雑な加工をしない一般的な製材による木材で創られた空間を実現することで、間伐材の価値を高めるデザインを目指しました。

芯を出来るだけ大きくとって残りは板にする一般的な製材形式

一般的な製材から得られる小さな角材を組合わせた木架構

この場所でとれた間伐材の「細く、短い 」個性を活かした⽊造⼤空間

FEATURES03

無駄なく使い切る材料コーディネート

敷地内の限られた間伐材を無駄なく使い切るために様々な仕上げ材利用の工夫を施しました。円形の丸太の外周部から採れる板材は乱尺巾で利用し、節も許容することでロスを最小化し、製材も出来ない小径丸太はチップ化して化粧合板として使いました。また圧縮加工による耐久性の向上や焼杉加工による耐候性の向上など、針葉樹の弱点を補完する技術を使い、利用場所の幅を広げることで木材の使い切りをコーディネートしました。

製材された丸太材

FEATURES04

この地の資源を生かす

希少な自然環境を舞台にした学習施設であることから、木材利用の他にも様々な環境貢献の視点を建築計画に取り込みました。
湧き水からなる谷津田と呼ばれる田んぼは、多くの生きものが暮らす重要な水源地であることから雨水は側溝排水せず地に還元する雨水排水計画としました。また建設による掘削⼟の⼀部を建材利⽤もしています。
周囲の生き物や自然への負荷を減らすため照明空調設備は最小限とし、谷地の水田を流れる冷涼な風を建物各室に受け流すため、ずれた建物配置としています。窓を開けて屋内外の行き来が自由に出来、快適に使える学習室を計画しました。

雨水を地に返すことで湧き水の水源を保全

掘削⼟を使ったタイルや左官の建材

谷筋の風を受け流すずれた建物配置

田中 匠

吉田 敦