「予測し得るワークスタイルの未来」の要素抽出
STEP2「未来の兆し」:様々な産業の先進的な要素技術・ライフスタイルの変化・アイデア等の『未来の兆し』
情報付加により発想を飛躍し、数年後の「起こり得るワークスタイルの未来」を洞察
01
EBW
(エモーショナル・ベースド・ワーキング)
これまで
働き方改革の推進やコロナ禍に普及したテレワークなど、ワーカーの働き方は時間や仕事内容に合わせて最適な場所を選択する=ABW※1が主流となっています。また、生成AIの登場により、ワーカーは文書作成やデータ分析など、定常的な業務が効率化されています。
これから
この未来では、ルーティンワークはAIに置き換わり、人がAIに勝っている「感性」や「創造性」を発揮することが重要視されています。オフィス外では、美術館やオーケストラなど、本物の優れたモノに触れて感性を育み、オフィス内では、プロトタイプ製作や飲食を伴う談笑など、五感を刺激しながら創造性を発揮しています。働く空間は、自らの感情に呼応して環境自体が変容しており、全ての業務は、各自の個性により成長したパーソナルAIが自らの感情を代弁してサポートしてくれます。このような感性を鍛え創造性を発揮する働き方=EBW ※2が主流となり、人の価値を最大化しながら働いています。
02
非言語共感ワーク
これまで
職場では自分の想いが上手く伝えられず、誤解や思い違いによるディスコミュニケーションが頻繁に発生しています。また、高度化・複雑化する仕事のプレッシャーから自分の弱みや苦手分野は言い出しづらく、自分だけで我慢しながら業務を遂行しています。その結果、メンタルに不調をきたし、休職・離職に追い込まれることがあります。
これから
この未来では、個々の業務における強みや弱み・現在の体調が、センシング技術によりリアルタイムに表示・解析されています。勇気を出して自ら自己開示しなくとも、お互いの弱い部分・苦手な部分が嫌味なく自然と共有されるため、相互に認め合い・助け合う雰囲気が醸成されます。また会議シーンでは、思考の整理や伝達など場の空気を読んで誘導してくれるお節介ロボが活躍し、相互のコミュニケーションの質が高まり、共通のゴールにぶれることなく向かうことができます。
03
能力優待雇用制度
これまで
年功序列制度は長期雇用を前提に、長い目で人材育成をする制度として日本企業に根付いてきました。しかし、ハイパフォーマーとローパフォーマーの間で、評価での違いを出せず不公平感が生まれています。特に優秀な若手社員ほど不平や不満を感じやすく、社員のモチベーション低下や人材の流出につながっています。
これから
この未来では、個人のスキル・実績がデータベースで整備され、誰でも平等に閲覧できる社会が訪れています。一握りの優秀な人材には、様々な会社から引く手あまたにオファーが届きます。各社は優秀な人材を惹きつけるため、スキルアップに繋がる高難度の仕事とセットで、魅力溢れるファシリティやサービスを提供します。広い個室、秘書、資料作成AI、有名シェフの食事など、各社が提供するサービスにも競争の原理が働きます。優秀な人材には相応の対価が伴うため、自己研鑽に励むモチベーションが高いワーカーが増え、社会全体での生産性向上が期待されます。
04
PSR本位制
(パーソナル・ソーシャル・レスポンシビリティ)
これまで
昨今、気候変動や経済格差など様々な社会課題は深刻さを増しています。多くの企業はカーボンニュートラルや地域貢献など、社会課題解決やCSR活動に積極的に取り組んでいます。一方ワーカー目線では、自らの利害とは直接的な関係が薄いため、どこか他人事の意識となり企業の活動任せになっています。
これから
この未来では、社会課題解決を企業のCSR活動だけに頼ることに限界を迎え、個人のPSR活動(※3)が重要視されています。各自にはPSRコインが割り当てられ、累積したPSRコインの量で社会的な立場や評価がなされます。個人は常に社会貢献や自身のCO2排出量を意識しながら行動しています。社会全体で、各行動により増減するPSRコインが見える化されています。今まで各自の利便性や利益に起因していた行動から、社会や環境に一番有益な行動は何かという視点が最優先されます。個人の日常的な小さな行動の積み重ねが企業の取り組みを補完し、個人の成長と大きな社会変革・持続可能性の向上に繋がっています。
05
三“間”一体コミュニティ
これまで
社会全体や一定の地理的範囲で考えると「無駄に多すぎる」施設・システムが乱立している状況にあります。一つの空間は一企業や一団体しか利用できず、営業時間外は空いており、また、ワーカーも一企業に属す人が多く、自らのナレッジを社会全体に活かしきれていません。
これから
この未来では、「空間」「時間」「人間」の3つのカテゴリーで無駄がなく共有されるコンパクトで独立したコミュニティシティが生まれています。「空間」は、企業等のテリトリー意識をなくして、コミュニティ全体で共有されコンバージョンが進みます。「時間」は、業態による最適時間等を考慮した昼夜2部制のワークプレイス(昼:A社、夜:B社)が生まれます。「人間」は、小さい都市圏でワーカー、子ども、お年寄りがごちゃまぜで過ごしてナレッジを共有しています。社会全体でインフラの無駄がなくなるだけでなく、教育や学びの機会が生まれ、予期せぬ視点からアイデアが創出されるなど、未知なる可能性を秘めています。
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