脱炭素

Ⅰ.脱炭素社会の実現に向けて

竹中工務店は、脱炭素化および気候変動の緩和が、持続可能な社会の実現における最重要課題の一つであると認識しています。バリューチェーン全体で省エネルギー、再生可能エネルギーの活用などを進め、温室効果ガス排出量の低減を推進します。併せて、気候変動に適応する設計手法や施工技術にも取り組んでいきます。

1.竹中グループCO2削減長期目標

当社は、2050年までに、竹中グループとサプライチェーンの全体でカーボンニュートラルを目指します。 2019年12月にCO2削減長期目標を策定して活動を開始し、2021年には目標値を引き上げて2050年にカーボンニュートラルを目指すこととしました。さらに2022年12月には竹中グループ全体(連結)を対象とした新たな中長期目標を設定しました。

竹中グループCO2削減長期目標(率)
竹中グループCO2削減長期目標
削減長期目標(排出量)
竹中グループCO2削減長期目標

2030年までに達成を目指す中間目標は、パリ協定の世界共通目標を充たす水準となっています。

  1. 自社のエネルギー使用によるScope1とScope2の合計は2019年比46.2%削減(1.5℃水準)
  2. 他者の排出であるScope3の合計は 2019年比 27.5%削減(WB2℃水準)

社外からの評価

SBT認定を取得
2024年3月、竹中グループの排出削減目標(Near-Term Science-Based Targets)が、温室効果ガス削減目標(スコープ1、2)1.5℃目標に沿ったものとしてSBTiの認証を受けました。

2.目標達成に向けたロードマップ

脱炭素社会の実現に向け、当社は2050年カーボンニュートラルを達成するためのロードマップを策定しています。日本政府のグリーン成長戦略等を参考に、中長期的なシナリオを想定しながら戦略を検討しています。

社会の状況に合わせてロードマップを継続的に見直すとともに、その実現に向けた具体的な方策と事業計画への反映を進めています。

Ⅱ.自社の事業活動におけるCO2削減

自社のエネルギー使用に伴うCO2排出に係るScope1とScope2については、企業の責任として最優先でその削減に取り組んでいます。

1.建設工事における取り組み

竹中グループの事業活動において最もCO2排出量が多いのは、建設現場(作業所)での活動に伴うものです。建設現場でのCO2削 減活動を加速するため、2022年に「チャレンジ!ゼロCO2作業所」を設定して、省エネルギー工法の採用や、再生可能エネルギー の導入を開始しました。竹中工務店では2023年2月からは、新たに着工する全ての建築現場で、原則グリーン電力を採用するなど、 活動を加速しています。

具体的な取組み

  1. 「CO2削減アイテムリスト」を活用した工事計画作成
  2. 「CO2排出量モニタリングシステム」を導入し、工事によるCO2排出量削減の目標管理に活用
  3. 建築現場の仮囲いに「チャレンジ!ゼロCO2」の看板を掲示
建設工事における取り組み

建築現場のCO2排出量モニタリング

建築現場での主要なCO2排出源は、建設重機や場内車両で使用する軽油燃料、タワークレーンなどの電動機器、事務所で使用する電力ですが、その排出量は工事の進捗や使用する機械によって大きく変動します。CO2排出量の削減活動を推進するため、各現場のエネルギー使用やCO2排出の状況を迅速に把握する「CO2排出量モニタリングシステム」の導入を2023年に開始しました。機械の稼働状況等のデータを担当者が入力すれば、CO2排出を自動で計算・集計し、全社の状況を見える化するものです。
さらに一部の建築現場では、IoTデバイス「どんだけ」を導入し、データ入力の省力化と精度の向上を図っています。これは機械のバッテリーに取り付けて電流値を検出、CO2排出量モニタリングシステムに信号を送ることで機械の稼働状況を自動で把握するものです。今後、多くの現場への導入を進めます。

CO2排出量モニタリングシステム
CO2排出量モニタリングシステム
IoTデバイス「どんだけ」
IoTデバイス「どんだけ」

省エネルギーを実現する仮設ハウス「エコフィス・レジスト」

省エネルギー型の建設現場用仮設事務所「エコフィス・レジスト」を、建設用資機材のレンタルをおこなっている関連会社の朝日機材と共同開発し、順次採用しています。断熱性能の向上やLED照明の導入などにより、従来に比べて約20%のCO2削減効果が期待できるほか、火災にも強いという特徴があります。
さらなる断熱性能の向上や省エネルギーを図るため、「ジョイント部断熱パネル」、自然の風が通る「窓、扉網戸」、発電しつつ屋根面の温度上昇を抑える「太陽光発電パネル」などのオプションを用意しています。

建築現場事務所用仮設ハウス「エコフィス・レジスト」①
建築現場事務所用仮設ハウス「エコフィス・レジスト」①
建築現場事務所用仮設ハウス「エコフィス・レジスト」②
建築現場事務所用仮設ハウス「エコフィス・レジスト」②

建設重機・工事車両の省燃費運転

啓発資料の例(一般社団法人 日本建設業連合会)
啓発資料の例(一般社団法人 日本建設業連合会)

建設重機や工事車両の運転講習などの啓発活動をおこない、作業員の意識やスキルを高めるなど、協力会社とともに軽油使用量の削減に努めています。

工事車両待機ヤード の設置

工事車両待機ヤード「TAK-station芝浦」
工事車両待機ヤード「TAK-station芝浦」

建築現場には資材の搬入等で多くの大型車両が出入りしますが、都市部の現場などでは 路上での待機車両が交通渋滞を招いてしまう可能性があります。 東京都内の一部の建築現場用に、周辺の土地を借り上げて工事車両の待機ヤード「TAK- station」を設置する取組みをおこなっています。渋滞の緩和だけでなく、アイドリング ストップによるCO2削減にもつながっています。

廃棄物の排出に伴うCO2削減技術

掘削土など建設廃棄物・副産物の発生量を抑えることは、それを車両で場外に運搬する際のCO2削減にもつながります。地下工事における汚泥発生量を大幅に削減できる当社開発技術「TSP-eco」「TSP-ZERO」は、とくに大きな効果が期待できます。
また、廃棄物をストックする容器に満杯を検知するセンサーを設置することで回収頻度を減らしたり、協力会社と連携して収集・運搬ルートを短縮するなど、廃棄物の排出に伴うCO2排出の削減に取り組んでいます。

建築現場での再生可能エネルギーの導入

Scope2の削減

2022年度には、建築現場で使用する電力の約30%を再生可能エネルギーとし、 2023年2月1日以降に着工する工事では、原則として再生可能エネルギー由来のグリーン電力を使用しています。

Scope1の削減
燃料電池フォークリフトの試行
燃料電池フォークリフトの試行

建築現場でのCO2排出のうち、建設機械やダンプカーなどの車両の燃料として使われる軽 油に由来するCO2が75%占めており、これを削減するため、代替燃料(HVO等)の導入 に向けた検討・試行を行っています。

主な取組み

  1. RD100燃料(リニューアブルディーゼル燃料100%)の導入試行
  2. 水素を燃料とした「燃料電池フォークリフト」の試行

2.自社オフィスにおける取り組み

当社のオフィス(事業所)では、前年からのエネルギー消費量削減目標を設定し、継続的に省エネルギー活動を実施するとともに、主要なオフィスで太陽光発電を導入しています。運用改善によるCO2削減だけでなく、順次、改修や建て替え等による建物の環境性能の向上を図っており、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS※)等の認証も取得しています。

  • 建築物省エネルギー性能表示制度(BELS):「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針」(ガイドライン)に基づき、新築・既存の建築物において、第三者評価機関が省エネルギー性能を評価し認定する制度。
  1. Net ZEB:エネルギー消費量が基準値の50%以下かつ再エネによりエネルギー収支がゼロの建物
  2. Nearly ZEB:エネルギー消費量が基準値の50%以下かつ再エネにより消費エネルギーが正味75%以下の建物
  3. ZEB Ready:エネルギー消費量が基準値の50%以下の建物

竹中セントラルビル サウス(東京都)

1999年に竣工したオフィスビルをスマートビルに全面改修し、 CO2排出量を50%削減するとともに、竹中グループ7社の集約拠点として2022年10月に開業しました。
改修に当たっては、脱炭素や働き方の多様化といった社会ニーズへの対応を図るため、当社開発の「ビルコミ® プラス」など様々なソリューション技術を導入しています。今後の運用でさらなるCO2排出量の削減を目指すとともに、スマートビル関連技術の開発・実証の場として活用していきます。

竹中セントラルビル サウス外観
竹中セントラルビル サウス外観
ビルコミ®プラス
ビルコミ®プラス

大阪本店御堂ビル(大阪府)

大阪本店御堂ビル(大阪府)

竹中グループ7社が入居する御堂ビル(1965年に竣工)では、太陽光発電に加えて、2021年10月から「カーボンニュートラルな」都市ガスを導入しています。これは、天然ガスの採掘・輸送・製造・燃焼の工程全体で発生するCO2がクレジットで相殺されたものです。
また、2014年から2018年にかけて大規模なリニューアルを実施し、築50年以上の建物を魅力あるワークプレイスに生まれ変わらせています。

東関東支店(千葉県;Net ZEB)

2016年にZEB化改修した東関東支店では、地中熱や太陽熱を直接利用した輻射冷暖房、超コンパクト型のデシカント空調機などの自社開発技術を導入したほか、設備や外装の更新による性能改善とワークスタイルの見直しによりエネルギー消費量を削減し、ネット・ゼロエネルギーを達成しています。

東関東支店(千葉県;Net ZEB)外観
外観
エネルギー収支(2016年5月~2017年4月)
エネルギー収支(2016年5月~2017年4月)

東京本店(ZEB Ready)

東京本店(ZEB Ready)外観
外観

築16年経過した大規模オフィスビル竹中工務店東京本店において、LED照明・タスクアンビエント+人感センサー照明・CO2制御システムの導入や、ソーラーパネルの設置などで大幅なCO2削減を達成し、2021年にBELS認証を取得しました。実際のエネルギー使用量 についても、日常のエネルギー管理を徹底しており、ZEB Readyを達成しています。

北海道地区FMセンター(ZEB Ready)

「北海道地区FMセンター」の建て替えにあたり、100%道産木材を使用し、一般的な鉄骨造建物と比べてCO2排出量を約70%低減するとともに、利用者の健康や快適性を維持する「ウェルネスオフィス」を実現しました。冬の日射を効率的に取得・活用し、シミュ レーションで最適な開口部の位置とサイズを導き出し、効果的な自然換気を行っています。これらにより、環境認証として「CASBEEスマートウェルネスオフィス」の最高位となる「Sランク」とBELSのZEB Readyを取得しています。

北海道地区FMセンター(ZEB Ready)外観
外観
執務スペース
執務スペース

3.賃貸建物における取り組み

当社が所有する賃貸オフィスビルなどにおいても、共用部の照明をLED化するなど、CO2削減の取組みを進めてきました。改修や新築のタイミングで、さらなる環境性能の向上を目指します。

Ⅲ.建設事業を通じたお客様の脱炭素への貢献

サプライチェーン全体を通したCO2削減により、建物のライフサイクルを通してお客様のCO2削減にも貢献していきます。

1.建物ライフサイクルの脱炭素

「建築材料の製造→建設工事→お客様による建物の運用→解体」という建物のライフサイクルの様々な段階、様々な排出源でCO2が発生しています。当社はこれら全ての段階のCO2排出削減に取り組んでいます。

お客様への脱炭素化支援メニュー
建物ライフサイクルの脱炭素

2.低炭素材料の採用

建築物のライフサイクルにおいて、運用段階に次いでCO2排出量が多いのが建設資材の製造段階で、生コンクリートや鋼材(鉄骨・鉄筋)の製造に伴うものが大半を占めています。当社はサプライチェーンにかかわる関係者とともに、資材調達に関わるCO2排出の削減に取り組んでいます。

電炉鋼材の採用

電炉鋼材の採用

鋼材を新たに製造する工程では、鉄鉱石を高炉で溶かす際に多量のCO2が発生します。一方で、鉄スクラップを電炉で溶かしてリサイクルすれば、CO2を約半減することが可能です。
当社は、高炉鋼材と同等の品質を確保するため、厳しい管理体制を構築するとともに、積極的に電炉鋼材の使用を推進しています。

ECMセメント・コンクリート

ECMセメント・コンクリート

コンクリートの材料の一つであるセメントは、その製造工程で多量のCO2が発生します。当社が共同開発したECM(エネルギー・CO2・ミニマム)セメントは、コンクリートに使用されるセメントの6~7割を、鉄鋼を製造する際の副産物である高炉スラグに置き換えるものです。
当社はその採用を拡大しているほか、CO2排出の収支をマイナスにするコンクリートの開発にも取り組んでいます。

ダンボールでできた空調用ダクト「エボルダン®」

ダンボールでできた空調用ダクト「エボルダン®」

「エボルダン」は、重ね合わせたダンボールをアルミ箔で覆うことで、不燃性能を持たせた当社開発技術です。
鋼板を使用する通常のダクトと比べ、製造時のCO2排出量を大幅に削減できるほか、軽量なため、運搬時のCO₂排出量も抑えることが可能です(トータルでCO₂排出量を約60%削減)。

木材の積極的な利用

木材の積極的な利用

木材は建材等として使われている期間、炭素を貯蔵するほか、木を切った後に植林することで森林によるCO2の吸収を促すことから、脱炭素社会実現の方策として期待されています。
当社は耐火集成木材「燃エンウッド🄬」など独自技術で木材活用の可能性を広げるとともに、木造・木質建築の普及を図っています。
2022年6月には、農林水産省と「建築物木材利用促進協定」を締結し、耐火集成木材「燃 エンウッド」などの当社独自技術で中高層木造建築物・木質建築等を推進し、木材利用 拡大を目指します。

3.ZEB(ゼロエネルギービル)の推進

ZEB(ゼロエネルギービル)の推進

建築物のライフサイクルにおいて、CO2排出が最も多いのはお客様による運用段階です。当社は設計する建物について、計画の早い段階からお客様とのコミュニケーションを通じて、ZEB(ゼロエネルギービル)や省エネルギービルを積極的にご提案しています。ZEB実現に向けた相談窓口を設け、業務支援を行い、その活動を公表する事業者として2017年に制度化された「ZEBプランナー」にも登録しています。

ZEBプロジェクト実績

当社設計・施工の建物を中心に、Net ZEB、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedを合わせた「ZEBプロジェクト」の拡大を図っています。2009年以降の実績を、横軸をエネルギー消費、縦軸をエネルギー創出量としたZEBチャートとして表しています。

竹中工務店設計・施工プロジェクトZEBチャート(2022年10月現在)
竹中工務店設計・施工プロジェクトZEBチャート(2022年10月現在)
ZEBプロジェクト
ZEBプロジェクト実績

ZEBをもっと身近に®

当社では、「ZEBをもっと身近に®」として、一般ビルとほぼ同等の経済的なコストでのZEB実現に取組んでいます。
快適性・経済性・汎用性・簡便性をそなえることで、ZEBの普及拡大と、より多くのお客様の脱炭素ソリューションに貢献します。

ZEBをもっと身近に

ZEBの要素技術

当社開発技術をはじめ、断熱性向上、空調負荷軽減、自然光・自然通風活用など様々な要素技術を設計に採り入れ、ZEBや省エネルギー性能の高い建物を作り込んでいます。

ZEBを身近にする4つのコンセプト
ZEBの要素技術

ZEB設計ツールの開発とガイドラインの整備

アメリカの建築環境コンサルティング事務所と共同で、ZEB設計ツール「ZEBIA(Zero Energy Building Integrated Analysis、ゼビア)」を開発しました。あわせてZEBの設計を効率的に行うための「ZEB設計ガイドライン」を整備し、2023年4月に全社で使用を開始しました。環境性能をスピーディに可視化することで、設計の初期段階からお客様とともに省エネルギー性の高い建築をつくり込むことができるようになりました。

ZEB設計ツールの開発とガイドラインの整備

4.エネルギーマネジメントシステム

エネルギーを効率的に使うには、太陽光発電などの再生可能エネルギーや蓄電池、電気自動車の充放電装置など、様々な電源システムを最適に制御することが必要です。
当社は、建物のエネルギーを有効活用するマネジメントシステムを独自に開発し、様々な提案を通してお客様の脱炭素に貢献しています。

エネルギーマネジメントシステム「I.SEM®(アイセム)」

当社が独自開発したI.SEMは、主に中小規模ビルを対象としたエネルギーマネジメントシステムで、再生可能エネルギーの有効活用や電力逼迫などの社会ニーズにも対応できます。

I.SEMの機能

  1. 1.エネルギーの見える化:エネルギー使用量や節電要請への対応状況をリアルタイム表示します。
  2. 2.発電・負荷予測:気象予報や実績データを用いて、太陽光発電量や使用電力量を予測します。
  3. 3.PV自家消費制御:太陽光発電を余すことなく使い切るよう、蓄電池を最適に制御します。
  4. 4.デマンド制御:分散電源や空調・照明設備を制御し、使用電力のピークを削減します。

I.SEMによる統合デマンドレスポンス

I.SEMは電力網からの節電要請に対して、一棟の建物はもとより、複数の建物の節電制御を自動で実行することも可能です。中小規模の建物であっても、複数を束ねて対応することで、大規模建物並みの節電を実施し、地域の電力逼迫に貢献することができます。
当社は、2017年から東京電力エナジーパートナーが実施するデマンドレスポンスプログラムに参加しています。●年の同社の節電指示に対して「I.SEM®」が自動で応答し、当社関連建物2棟の電源設備群を制御し、指令時間通りに節電を実行しました。

  • デマンドレスポンス:電力需給逼迫時の節電要求に、需要家側が応じて需給バランスを保つ仕組み。
システム構成とデマンドレスポンス実施結果
I.SEMによる統合デマンドレスポンス

5.木造建築・木質建築

木は、光合成で空気中のCO2を吸収し、炭素として貯蔵します。それは木材を燃やさない限り固定され続けるため、「炭素の貯蔵庫」とも呼ばれ、木材の利用はカーボンニュートラルに向けた方策の一つとして期待されています。また、木を使うことは国産木材の利用促進による林業の活性化や、木のぬくもりによる心理面の効果など、多面的な効用をもたらします。
当社は、柱や梁といった構造体(骨組み)に木を使う「木造建築」および内装や外装の仕上げに木を使う「木質建築」への取り組みを積極的に進めています。「木造建築」については、都市部での大規模化・高層化に不可欠な耐火性能を有する構造部材などの技術開発にも取り組んでいます。

木造単身者向け社宅「フラッツウッズ木場」(東京都)
木造単身者向け社宅「フラッツウッズ木場」(東京都)
耐火集成木材「燃エンウッド®」
耐火集成木材「燃エンウッド®」

取り組みの詳細は特設サイトをご参照ください。

6.既存建物の運用・診断・改善

パンフレット「竹中工務店の脱炭素ソリューション」より
パンフレット「竹中工務店の脱炭素ソリューション」より

建物運用時のエネルギー消費量を削減するため、グループ会社のアサヒファシリティズでは同社が管理する建物の空調設備の運用改善等、きめ細やかなご提案を行っています。 また、竹中工務店では既存建物のCO2排出量診断、設備機器の運用改善や改修工事等、様々な脱炭素ソリューションのご提案を行っています。

Ⅳ.サプライチェーンでの協働

カーボンニュートラルを実現するためには、サプライチェーン上の様々なステークホルダーとの連携が不可欠です。とくにScope3の削減は、事業者との協働なしには実現できません。

低炭素型コンクリートの開発・普及

製造時のCO2発生量を6割程度削減できる「ECMセメント」をセメントメーカー等と共同で開発し、生コンプラント事業者等とも連携してプロジェクトへの適用拡大に取り組んでいます。

CO2吸収型コンクリート等の開発

CO2を吸収するカーボンネガティブコンクリート等の技術開発を目的として、55の企業・大学・研究機関で構成されるコンソーシアム「cuco(クーコ)」を立上げ、活動しています。

電炉鋼材の採用拡大に向けた協働

メーカー、協力会社と電炉鋼材におけるサーキュラーエコノミーWGを立ち上げ、活動を実施しています。

Ⅴ.脱炭素に貢献する技術開発

低炭素材料や建物運用時の脱炭素に貢献する技術開発を他社とも共同して実施しています。

CO₂排出量を大幅に削減する環境配慮型コンクリート-ECMコンクリート®-

セメントの60~70%を、鉄鋼を製造する際の副産物である高炉スラグの粉末に置き換えることで、コンクリート由来のCO₂排出量を6割削減できるコンクリートです。

CO₂削減と省人化に貢献する不燃ダンボールダクト-エボルダン®-

ダンボール板を重ね合わせてアルミ箔で覆った材料でできた空調用ダクトで、製造時・運送時のCO₂排出量を61%削減可能です。

脱炭素社会に向けた分散電源統合エネルギーマネジメントシステム-I.SEM®(アイセム)-

再生可能エネルギーの有効活用や、電力逼迫などの社会ニーズにも対応する、主に中小規模ビルを対象としたエネルギーマネジメントシステムです。

建物内で発生するで生ごみからエネルギーをつくる「メタファーム®」

建物内で生ごみからバイオガスをつくり、電気や熱に変換・利用する技術です。廃棄物の搬出量を削減することで、運搬や処分でで発生するCO₂やコストを削減できるリサイクルシステムです。

汎用性が高く運用・管理コストを低減可能なZEB-普及型ZEB-

汎用技術を使って経済的に省エネ・創エネを図るだけでなく、眺望・採光・開放感、動線や照明にも配慮した設計にすることで、快適なZEBオフィスを実現します。

詳細はソリューションページをご参照ください。

Ⅵ.再生可能エネルギー供給事業

地域社会と連携しながら、地産地消や地元の経済活性化などにも貢献する再生可能エネルギー供給事業を開始しています。

TAKENAKA奥飛騨地熱発電所(岐阜県)

地元の奥飛騨宝温泉協同組合と協働し、既存の温泉井を活用した50kWの地熱発電事業をおこなっています。 2021年3月から発電を開始し、年間を通して安定した出力が得られており、この規模でトップクラスの95%以上の発電効率を達成しています。発電した電力は、再生可能エネルギー特別措置法の固定価格買取制度を適用し、中部電力パワーグリッドに売電するとともに、エネルギーの地産地消を目指してその一部を同施設内にある組合の温泉供給設備でも活用しています。

TAKENAKA奥飛騨地熱発電所(岐阜県)
TAKENAKA奥飛騨地熱発電所 外観
TAKENAKA奥飛騨地熱発電所(岐阜県)
TAKENAKA奥飛騨地熱発電所の仕組み

●内子龍王バイオマス発電所(愛媛県)

内子町森林組合に出材された、原木約3,600t/年の間伐未利用材から木質ペレットを製造し、それを燃料に330kWの発電を行っています。発電時に発生する熱を隣接する内子町龍王公園内の「オーベルジュ内子」と「フィットネスクラブRyuow」の2施設へ供給するという熱電併給事業です。
建設に当たっては、内子町からの支援のもと地元企業などからの資金調達を図るともに、地元産材を活用した木造建築とすることで、地域連携型の木質バイオマス発電事業の先導モデルとなることを目指しています。
事業者:株式会社内子龍王バイオマスエネルギー
(内藤鋼業、サイプレス・スナダヤ、竹中工務店、三洋貿易、大日本コンサルタント)

●内子龍王バイオマス発電所(愛媛県)