持続可能な建築・まちづくり
事業活動を通して社会の課題を解決し、社会からの信頼を得ながら成⻑し続けるために、地域社会や地球環境に配慮しながら、サステナブルなまちに向けた社会システムの創出やレジリエンスの向上により、持続可能な建築・まちづくりを進めています。
環境(ゼロエネ・脱炭素)・社会に配慮した建築とサービスの展開
木造・木質建築の推進
木造・木質建築選定プロジェクト件数
15件(目標:15件)
当社は中高層木造建築を実現するための技術の開発を通じて、建築の木造・木質化と国産木材の活用を進めています。「名古屋市国際展示場 第1展示館」(2022年6月竣工)や「水戸市民会館」(同年10月竣工)などの大規模木造・木質公共建築が完成しました。「森林グランドサイクル®※」では、農林水産省や地方自治体との木材利用協定の締結、また「内子龍王バイオマス発電所」(愛媛県)を開設し、森林関連産業の創出にも取り組んでいます。「サステナブル・ブランド国際会議」や国内最大の木造展示会「非住宅 木造建築フェア」での講演・展示を通じた情報発信など、木造建築の普及促進に取り組んでいます。
- 森林資源と地域経済の持続可能な好循環を進める活動
名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや) 第1展示館外観
名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや) 第1展示館内観
ZEB・エネルギーマネジメントの推進
ZEBプロジェクト件数
23件(目標:20件)
エネルギーマネジメント提案件数
31件(目標:15件)
脱炭素社会に貢献するZEB(ゼロエネルギービル)、エネルギーマネジメントシステムの拡大を推進しています。2021年3月に竣工した「理化学研究所本部棟」では、方位ごとに異なる出寸法の庇+縦フィンにより、最適な採光環境の創出と日射負荷の抑制を実現し、太陽集熱パネル、井水熱利用等の再生可能エネルギーの活用、デシカント空調機、放射空調等、様々な省エネ技術を導入し、エネルギー消費量を基準値より51%削減し、ZEB-Ready※(計画値)を達成しました。また、2021年7月に竣工した「ナミックス本社管理厚生棟」では、新潟の寒冷な気候に配慮した高断熱外装、ダブルスキンカーテンウォールを採用し、熱負荷を抑えた開放的な空間を実現しました。吹抜け上部のハイサイドライトからの自然採光、自然換気、光ダクト等、自然エネルギーの効果的な活用により、エネルギー消費量を基準値より52%削減し、ZEB-Ready(計画値)を達成しました。
- ZEB-Ready:省エネルギーにより、エネルギー消費量を標準の50%以下とした建物
理化学研究所本部棟
ナミックス本社管理厚生棟
ウェルネス建築の推進
ウェルネス建築認証取得件数(WELL認証、CASBEE-WO認証)
4件(目標:9件)
人が健康になる空間を目指して、ウェルネス建築を推進しています。「大阪梅田ツインタワーズ・サウス※」では、高性能外皮による豊かな昼光・眺望と負荷抑制の両立、サーカディアンリズム照明、輻射空調等により、ワーカーの快適性・生産性の向上を図っています。共用部には、カフェやラウンジ、フィットネスが併設され、ワーカーの健康や創造性を向上させる場を実現し、CASBEE-ウェルネスオフィス認証の最高位となる「Sランク」を取得しました。また、「栄研化学新研究棟」では、トップライトのある吹抜け空間に打合せスペースを配置し、ワーカー同士のコミュニケーションの活性化を図っています。採光・通風の取り込み、床吹出し空調の採用に加え、多様なリフレッシュスペースや食事スペースを計画し、ワーカーの快適な環境を実現し、CASBEE-ウェルネスオフィス(WO)認証「Sランク」を取得しました。
- 12階の内装設計はUDS株式会社
大阪梅田ツインタワーズ・サウス
栄研化学新研究棟
サステナブルなまちに向けた社会システムの創出
まちづくりの活動フィールドを設定し、社会課題解決に向けた具体的な活動を実施
社会システム実証等活動数
10件(目標:10件)
当社は、社会課題解決に向けた仮説をつくり、地域の方々とともに実証実験を行いながら検証・実装を進めています。このようなまちづくり活動を「MACHInnovation®(マチノベーション)」と名付け、まちづくり社会システムの構築に向けて活動を広げていきます。
海床ロボット
水面に浮かべた床を、自動で動き回るドローンをイメージした都市型自動運転船です。用途に応じて着せ替え可能なので、交通、物流、防犯、防災、環境など都市の水辺の課題解決を目指しています。大阪・関西万博に向けた実証実験のほか、レイクタウン大相模調整池周辺(埼玉県)、ルポール粟島周辺(香川県)、汐浜運河(東京都)などで実証実験を進めています。
シティヴィンヤード
都市の未利用地という課題に対し、緑地の付加価値の向上を実現し、さらには健康やコミュニティ醸成に寄与する取り組みです。具体的には、都市緑化技 術を応用したブドウ栽培を実現し、その果実でワインを醸造します。現在、赤札堂深川店(東京都)や大手町ビルディング(東京都)の屋上で実証実験を開始しています。
社会システムの構築による事業化の推進
事業化数
3年で5件(目標:3年で2件以上)
当社は、「まちづくり総合エンジニアリング企業」として、日本各地において多様なステークホルダーと社会課題の解決への取り組みを通じて、持続性のある社会変革に貢献しています。
魅力再生®
2020年に、当社の提唱する「魅力再生®」をテーマに、これまで培った設計力や技術力を活かし、3社により、東京都港区新橋に立地する国の登録有形文化財「堀ビル」の保存活用事業に着手し、2021年に完成、活用が始まりました。
長野県塩尻市と連携したまちづくり活動
当社は、2020年1月に長野県塩尻市と木材利用を通じた林業再生・経済循環を生み出す「森林グランドサイクル®」を旗印にした連携協定を締結し、奈良井宿における古民家再生、まちの魅力増大を進めています。
建設現場向けアプリ「位置プラス®」シリーズの外販
建設現場における職員・作業員等の人手不足の解決を目指して開発した、人や高所作業車等の位置を記録し、各種の管理業務に活用できる建設現場向けアプリ「位置プラス®」シリーズを開発し、2020年より外販を本格化、今後は、機能追加に加えて、アプリで取得した各情報をBIMへ出力する連携機能も検討しています。
クリーンエネルギーへの取り組み
脱炭素社会へ向けたクリーンエネルギーへの取り組みとして、2021年には岐阜県において「TAKENAKA奥飛騨地熱発電所」として地熱発電事業を開始するとともに、2022年には、地元産材を活用した「内子龍王バイオマス発電所」を5社の連携により建設し稼働を開始しました。
建築とまちのレジリエンスの向上
災害対策・支援メニュー拡充と適用
メニュー拡充(開発・適用件数)
開発4件・適用2件
(目標:開発4件・適用開始4件)
フィジカルディスタンス検知による局所換気量制御システム
建築の長寿命化とストック維持・活用推進
価値を生み続ける資産経営・施設運用のための調査・提案技術の強化
推進要素技術適用件数
6件(目標:6件)
長寿命化に貢献する提案件数
6件(目標:4件)
建物の長寿命化の実現のためには、脱炭素を含む環境負荷の低減はもとより、基本機能の要求性能を長期間維持し、社会・環境の変化に追従できる建物を維持管理する取り組みが求められています。当社ではドローンを使用した外壁タイルの浮きをAIが判定する「スマートタイルセイバー™」やカメラ付チェアゴンドラを用いて外壁調査結果を画像化する「カベロク」など、調査診断・維持保全に関わる様々なソリューション技術を開発し、調査の信頼性を保ちながら種々の建物への実用展開を行っています。
伝統文化の継承と価値再創出
伝統建築・歴史的建造物の保存・再生・活用の推進
伝統建築保存再生プロジェクト実施件数
6件(目標:3件)
取り組み件数
4件(目標:5件)
当社では伝統建築・歴史的建造物について、新たな価値を創出する取り組みを実施しています。培ってきた技術の伝承を主体とした伝統建築の新築・保存・復元を継続するとともに、文化財相当の既存建物については機能改善や新用途を伴う再生・活用を実現する設計・施工に加え、設計ソリューションを駆使したコンサルティングやアドバイザリーにも対応しています。「静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)」は、実業家 岩﨑彌之助・小彌太父子が収集した美術品を公開する美術館です。創設者 岩﨑彌之助は東京丸の内の近代的なビジネス街にミュージアムをつくりたいという想いを抱き続けていました。この想いをかたちにすべく、重要文化財建造物の中で貴重な名品を楽しめる新たな空間づくりの実現に当社は設計・施工で取り組みました。
明治生命館1・2階 静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)(1階:美術館 2階:事務所)
まちづくりの起点となるプロジェクトの創出
プロジェクト件数
4件
(目標:5件)
お客様の事業の企画段階からパートナーとして関わることにより社会課題を踏まえた都市的な視点からのアプローチによる将来のまちづくりの要や布石となるプロジェクトを創出していきます。地域のポテンシャルを高めたり、歴史的、社会的、文化的、環境的な社会資産となるようなプロジェクトの創出に貢献しています。
(仮称)心斎橋プロジェクト