生物多様性に寄与する樹木対応型壁面緑化システムを本社ビルの壁面に採用~御堂筋沿いのまちなみを、緑の壁でつなごう~
2012年7月3日
株式会社竹中工務店
(株)竹中工務店(社長:竹中統一)は、このほど大阪市中央区本町の本社ビル(御堂ビル)の壁面に、当社が2009年に開発した樹木対応型壁面緑化システム「バーティカル・フォレスト®」を採用しました。
大阪府が身近な市街地でインパクトのある“みどり”を増やすための民間施設等の緑化を公募により選定し、その費用を助成する「平成23年度街なみストリート助成事業」に採択されて実施したものです。
御堂ビルの壁面緑化は、「都市をつなぐ緑」というコンセプトの下、御堂筋のいちょう並木と沿道のビルの間に点在する緑との連続性や一体感をイメージして計画したものです。敷地北東の御堂筋接道部と南西の本町通接道部の2箇所で、隣地との境界壁に壁面緑化を行いました。
緑化パネルは、1ユニットサイズがW632×H900で、GRC(繊維補強セメント)製の表面パネル、断熱ボード、保水性・排水性・通気性・保肥性を兼備した不織布基盤、背面ボードの4層構造(公開特許公報「特開2008-29322)です。表面パネルはGRC製なので、安全性・耐久性に優れ、物が当たって壊れたり、強風で外れる心配がありません。緑化パネルを取り付け後、潅水制御システムと潅水チューブを設置し、表面パネルの植栽ポケットに、専用ポットで養生した植物を植え付けました。
御堂筋側に48パネル、本町通側に40パネルを設置し、アジサイやサツキツツジなどの樹木やハツユキカズラなどの宿根草など、計16種類・394ポットの植栽を行いました。
当ビルの壁面緑化は、“人と地球にやさしい壁面緑化パネル”として次のような特徴を持っています。
- ①糸くず、古着、廃材等を利用したフェルト材をリサイクルし緑化パネルの給水層として積極的に活用しています。
- ②ユニット化されていることにより取付けが容易で、汎用性が高く、大阪の街を「緑」でつなぐ景として多彩な演出をします。
- ③樹木木質部の約50%はCO2固定量として算出可能であり、多樹種により昆虫等の生物多様性に寄与します。
また、光と影・色合いなどから四季の彩りを感じる(視覚)、木々のざわめき感から風の音を聴く(聴覚)、樹木に触れて癒しの効果を得る(触覚)、緑や花の香りを深呼吸で体感する(臭覚)、樹木による壁面緑化の技を知る(知覚)など、感覚を刺激する効果も期待されます。
御堂筋接道部には公園緑地等が非常に少ない中、こうした都市の隙間を繋ぐ「緑の壁」を整備していくことで、やがては樹木の生育によって空に向かってのびる「緑の森」が街を繋ぐような、大阪市街地の新たな景観形成に寄与したいと考えています。
なお、当システムの施工やメンテナンスはグループ会社の㈱朝日興産が担当しており、竹中グループは、壁面緑化の一層の普及に取り組んでいます。