免震改修で生まれ変わる「東北大学医学部3号館」
2014年9月11日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)の設計施工による「東北大学(星陵)医学部3号館改修整備事業」(宮城県仙台市)が、2014年9月に完了します。
東北大学の重要な研究拠点である医学部3号館は、東日本大震災の経験を踏まえた本耐震改修事業による免震改修・内外装・設備改修を含むリニューアルを実施することで、最新の機能を備えた安全・安心な免震建物へと生まれ変わりました。
当社技術提案に基づき採用された中間階免震改修工法は、大地震時に利用者の安全・安心を確保できること、さらに居ながらの補強工事が可能であることが特長です。合わせて実施した内外装・設備リニューアルにより、防災機能の強化、研究施設としての機能強化、省エネルギー化も実現されました。
実施に当たっては設計期間を含めた短工期化と改修工事期間中の仮移転の最小化を図り、設計施工のメリットを最大限に活かした耐震改修事業を実現しました。
■「東北大学(星陵)医学部3号館」改修のポイント
居ながらできる免震改修
免震改修は、一般の耐震補強に比べ建物に作用する地震力そのものが低減され、大地震時の構造体の健全性だけでなく施設機能を維持できることが特長です。本事業では主に1階柱頭での中間階免震改修工法を採用したことで、既存構造体の補強などの工事を最小とし、上階を使いながらの改修が可能となりました。免震装置の設置では当社開発の「免震装置プレロード工法」を採用しました。これは新たに取り付ける免震装置を予め圧縮力(プレロード)をかけて縮ませておくことで、免震装置設置後の沈み込みを防止し、既存構造体の健全性を確実に確保する技術です。
居ながらできる設備更新
設備更新では、屋上に新たな設備スペースと、建物外部に新たな外部シャフトである「メカニカルウォール」を設けることで、居ながらにして設備全面更新を実現しました。「メカニカルウォール」は、工事中に既存設備機能を維持しながら、改修フロアを順次新系統に切り替えられるのが特長です。さらに内外装改修による断熱性能の向上や、消費電力や使用水量が少ない設備の導入により省エネルギー化を図り、また非常用電源・無停電装置による防災機能を加え、研究施設としての機能強化を実現しました。
東日本大震災以降、事業継続性の観点から社会的重要施設や産業上の拠点施設では免震改修への関心が高まっています。当社は「免震装置プレロード工法」などの開発技術や多数の実績で培ったノウハウを活かし、これらのニーズに積極的に応えていきます。
■工事概要
工事名称 | 東北大学(星陵)医学部3号館改修整備事業 |
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建築地 | 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1 |
主用途 | 大学、病院 |
構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、B1・F12・P3 |
規模 | 延床面積14,080m2(1969年竣工) |
基本計画 | 東北大学 |
改修設計・施工 | 株式会社竹中工務店 |
工期 | 2012年12月~2014年8月 |