圧縮強度200N/㎜2の超高性能コンクリートを用いたスリム柱~(仮称)吹田市立スタジアムで取付け完了~
2014年11月14日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、「(仮称)吹田市立スタジアム」において、同社が開発した圧縮強度200N/㎜2※1の「超高性能(APC®)コンクリート(以下、超高性能コンクリート。※2)特許取得済」を用いたスリム柱の取付け工事を完了しました。
本スタジアムでは、観客席の構成上、3階コンコースの一部に、斜め柱を設置する架構計画となっています。この柱に圧縮強度200N/㎜2を有する超高性能コンクリートを採用することにより、断面積を約4分の1にスリム化しました(外形36cm角、構造断面35cm角)。多くの観客が通行するコンコースの圧迫感を軽減し、意匠性の向上にも寄与しています。
柱サイズを抑えるためには、鉄骨柱を用いる方法も考えられますが、梁との接合部が複雑になったり、耐火被覆が必要になるなどのデメリットがあります。
200N/㎜2の超高性能コンクリートの製造については株式会社ダイワと共同で、プレキャスト工場で製造するための生産技術証明を取得しています。プレキャスト工場での生産体制が整い、大量生産や製造工期の短縮、全国レベルでの適用も可能となっています。
- ※11㎝2当たり2000kgfの荷重に耐えられる圧縮強度
- ※2APCとはAdvanced Performance Compositeの略
■超高性能コンクリートの技術概要
- ・200N/㎜2までの範囲で3時間の耐火性能を確保
高強度コンクリートは、火災により表面が剥離・飛散する爆裂現象が生じ、耐力低下や飛散物が周辺を損傷する可能性があります。そこで、当社独自の超高性能コンクリート技術では、ポリプロピレンなどの合成繊維と鋼繊維を混ぜるハイブリッド型を採用したことで耐火性能を高めました。財団法人日本建築総合試験所から耐火性能に関する「建築技術認証」を取得しています※3。 - ・構造部材としての強度と粘りを確保
一般にコンクリートの圧縮強度を高めると、柱などの部材としての強さは増大しますが非常にもろくなる性質があります。ここでは鋼繊維を混ぜることにより粘り強さを確保しました。 - ・200N/㎜2の超高強度と高流動性を両立
流動性と強度を向上させるため、材料の組成を見直し、超微粒子混和材シリカフュームの含有率が高い、シリカフュームプレミックスセメントを採用しました。同時に、水セメント比が10%程度まで練り混ぜが可能な、分散性の高い高性能減水剤をメーカーと共同で開発し、採用しました。 - ・製造管理技術を確立し大臣認定を取得
200N/㎜2までの範囲で、構造物の設計方法、部材の製造方法などに関する大臣認定を取得しています。 - ・2011年日本建築学会賞(技術)を受賞
これまでの成果について「2011年日本建築学会賞(技術)」(主催:社団法人日本建築学会)を受賞しました※4。
近年、超高層化や空間自由度の向上というニーズが高まりをみせています。当社がこれまで開発を進めてきた、高い耐火性能と構造的な強さと粘りを兼ね備えた超高性能コンクリートは、こうしたニーズに応えるとともに、RC構造の可能性を広げる有効な手段となると考えています。今後も、当社の数あるコンクリートのラインナップとして、適用を拡大していく予定です。
■適用プロジェクトの工事概要
工事名称 | (仮称)吹田市立スタジアム |
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建築主 | スタジアム建設募金団体 |
建築地 | 吹田市千里万博公園内 |
コンストラクションマネジメント | 株式会社 安井建築設計事務所 |
設計施工 | 株式会社 竹中工務店 |
建築用途 | 観覧場(4万人収容) |
工期 | 2013年12月1日~2015年9月30日 (予定)全体工期22ヵ月 |
構造・規模 | RC造(在来+PC)・S造 6階建 |
建築高さ | 40.33m |
建築面積 | 24,712m2 |
延床面積 | 66,355m2 |
■適用する超高性能コンクリート
断面 | 360mm×360mm |
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圧縮強度 | 200N/㎜2 |
適用本数 | 10本 |