「ウェブ・ウォール構造」の適用により耐震性とデザイン性を兼ねた耐震壁を可能に
2015年10月15日
株式会社竹中工務店
⽵中⼯務店(社⻑:宮下正裕)は、複数の開口を有する耐震壁を用いた「ウェブ・ウォール構造」(特許出願済み)を開発、大阪府吹田市の万博公園に開業する複合商業施設「EXPOCITY」内に新設された体感型ミュージアム「NIFREL」に採⽤しました。
「NIFREL」は太陽の塔と並ぶ万博エリアの新しいランドマークとして象徴的なパビリオンで、外観デザインは生物を連想させる有機的なフォルムに多孔質な開口を配置した構成としています。多孔質な外壁は展示空間を演出するとともに、日射負荷低減・照度確保、自然換気に配慮しています。
当建物に採用した「ウェブ・ウォール構造」は、鉄筋コンクリート造の壁体に斜めのグリッド状(網目状)に複数の開口を設けた鉄筋コンクリート造の耐震壁を有する構造形式で、耐震性とデザイン性を兼ね備えています。
一般的に耐力壁は現行の規準等では壁厚や開口の割合により、壁の硬さや強度が評価されます。しかし、開口が連続して配置されたり、開口面積の占める割合が大きかったりする場合、通常の設計方法では耐力壁と評価できません。
ウェブ・ウォール構造
「ウェブ・ウォール構造」では多数の開口のある鉄筋コンクリートの壁において、地震時に生じる変形と力を適切に評価し、必要な鉄筋を配筋することで、通風や採光の開口面積を確保しつつ耐震性能を損なわない耐力壁とすることができます。
さらに開口形状を菱形とし、外骨格的な架構とすることで、地震時の壁に作用する力を効果的に伝達させ、他の部材に作用する地震力を低減、建物の安全性を確保しながらも、合理的な設計を行うことができます。
「ウェブ・ウォール構造」の菱形開口は力を効果的に伝達させるだけではなく、開口形状から斜めにコンクリートが流れやすいため、細部にまで充填された密実なコンクリートを施工することができます。
また、開口のコーナー部がアール形状になっていることでひび割れの発生が少ない形状となっています。
ウェブ・ウォール構造の採用事例
建物名称 | NIFREL |
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建築主 | 株式会社 海遊館 |
建築地 | 吹田市千里万博公園地内 |
建物用途 | ミュージアム |
階数 | 地上 3階 |
構造種別 | 鉄骨造(外周部SRC造) |
建築面積 | 3,512.49m2 |
延床面積 | 7,220.75m2 |
建物高さ | 16.52m |
設計・監理 | 株式会社竹中工務店 |
施工 | 株式会社竹中工務店 |
竣工年月日 | 2015.11 |