設計者から鉄筋工事協力会社まで使える!~「鉄筋工事BIMソフト~RC一貫生産支援システム」の開発とプロジェクトへの適用~
2015年10月23日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、鉄筋工事を対象に設計から施工段階まで活用できる「鉄筋工事BIM※1ソフト~RC一貫生産支援システム」(以下RCS※2 特許出願済)を開発、大阪・京都・神戸の事務所や教育施設など9件のプロジェクトに適用しました。
今後も、当社設計プロジェクトを中心に活用を推進し、全国で展開していきます。
従来、鉄筋工事の納まり検討は2次元CADで実施していましたが、複雑な鉄筋配置ルールの反映、設計図やコンクリート施工図との調整など、完成までに多くの手間がかかっていました。加工図は、手描きや2次元CADで主に鉄筋工事協力会社が作成していましたが、納まり検討と同様に多くの手間がかかり、鉄筋工事職長に負荷がかかっていました。
一方、構造計算時に作成するデータを活用して、鉄筋3D納まり検討、施工に活用出来る加工図作成、加工帳作成まで鉄筋工事について、簡単な操作で対応できるBIMソフトはありませんでした。※3
本システムでは、構造計算時に作成するデータ(鉄筋の径や本数などを記載)を活用し、設計段階では柱と梁の接合部納まりを3Dモデルにて確認(例えば、柱と梁の干渉により予測される手戻りの防止)します。施工段階では、工事担当者がコンクリート施工図※4と調整し、鉄筋納まり検討図の作成、鉄筋工事の施工計画を容易に検討することができます。さらに鉄筋工事協力会社は、RCSを活用し、施工を考慮した加工図(鉄筋1本ごとの継ぎ方、長さ、形状などを示した図面・加工帳(集計表)の作成を行います。
こうした鉄筋工事の設計から施工まで鉄筋モデルデータを活用することで、データ入力上の間違いによる手戻りを防ぐことができ、鉄筋工事の納まり検討、加工図の作成、加工帳(集計表)などの業務を効率化や3次元に可視化できる事によるコミュニケーション向上による設計者と施工者の早期合意形成が可能となり、品質確保や生産性の向上を図る事ができます。
建設に従事する労働者が不足するなか、当社は鉄筋工事協力会社と連携しソフト開発を推進し、さらなる生産性の向上や品質の確保に努めており、このシステムはその一端を担うものです。
将来的には、CAM※5による自動加工への展開や設計監理者の検査業務への活用、設備BIMソフトと連携した梁貫通スリーブ位置の検討などを視野に入れているほか、(設計及び施工に関わる社員を含む)技術者のレベルアップや技術の伝承にも寄与できると考えています。
- ※1Building Information Modelingの略。コンピュータ上に作成した3次元の建物モデルに、仕上げ、コスト、管理情報などの属性データを追加したものを、設計から施工、維持管理までのあらゆる工程で活用する概念あるいは業務フロー
- ※2RC structure integrated production Systemの略
- ※3鉄筋の3次元モデルを作成するソフトはあるものの、あくまで積算の合理化を目的としたものです。
- ※4型枠の加工・組立・鉄筋の加工・配筋、墨出し、積算など直接施工に使用される図面。
そのため、構造・意匠・設備の各々の取り合いが総て解決され、く体の形状・種類・寸法が明確に指示された図面 - ※5Computer Aided Manufacturingの略。CADで作成した形状データを工作機械に送り、自動で加工などを行う生産方式