施工時に山留め壁の出来形の可視化がどの機械でも実現!~「山留めソイルセメント柱列壁の出来形計測手法」開発とプロジェクトへの適用~
2016年4月8日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、山留めソイルセメント柱列壁の出来形を施工日毎に確認できるソイルセメント連続壁等の駆動軸位置検知方法(竹中土木、エステック、竹中工務店で特許登録済)ならびに「山留め壁出来形計測手法」を開発し、東京のオフィスビルの建設工事(2015年2月~2017年10月)に適用しました。
今後も、全国の当社施工プロジェクトで活用していきます。
従来、地下工事で地盤の保持や掘削時のドライワーク※1確保に重要な役割を担う山留め壁の出来形を確認するためには、挿入式傾斜計を山留め機械の削孔ロッドの中に内蔵した特殊な専用機による施工が必要でした。しかし、台数が限られた専用機での施工は、コストや工期に大きく制約を受けます。そこで、山留め壁の造成が可能な多くの汎用機械に適用可能で簡易かつ高精度な出来形計測手法を開発しました。
本手法では、山留めの削孔ロッドの連結バンド部分※2にジャイロ計測器※3を取付け、移動距離の演算・累積により位置情報を取得し解析することで、山留め壁の削孔精度を約1/400以下で求め、出来形を深度毎に見える化することが可能です。
この計測手法の確立により、山留め壁の重要な品質性能である遮水性に必要なユニット間のラップ量の確認を掘削工事の前に行うことができます。
出来形の確認により大深度の掘削工事や土壌汚染対策時の遮水壁及び杭兼用山留め壁の品質確保に対して不具合箇所の検出を容易にし、必要な対策を最小限でかつ事前に施工できることとなりました。
将来的には深層混合地盤改良などの出来形確認を視野に入れているほか、杭の削孔形状の確認を見える化する技術へと展開することで更に安心安全な工事を実現していきます。
- ※1ドライワーク 水の影響で作業が阻害されない状態
- ※2連結バンド 山留め施工機械の削孔ロッドをつなぐ鉄製バンド
- ※3ジャイロ計測器 加速度及び角速度を時間と共に累積演算する計測器