戦略的な土地活用を支援する「サステナブルレメディエーション※1」に基づく新評価手法の適用を開始
2016年6月30日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、お客様が保有する汚染された土地活用の支援を目的に、環境・社会・経済の三側面から総合的に対策工法を評価する「サステナブルレメディエーション(以下、SR)」の考えに基づいた、VOC※2汚染土壌対策の簡易な評価ツール「SGRT-T」(Sustainable Green Remediation Tool-T)を開発し、運用を開始しました。
本評価ツールの活用により、お客様が保有する工場の再編や土地の売却に伴う土壌汚染対策を実施するに当たり、幅広いステークホルダーに対応する視点で工法の選択・説明を行うことができます。
土壌汚染対策においては、対策費用や施工期間の予測が立てやすい、対策後の土地利用計画がたてやすいなどの経済側面が重視されてきました。その結果、掘削除去という方法が優先されていますが、土壌汚染対策には他にもさまざまな方法があります。環境・社会・経済の三側面から総合的な判断を行った場合、お客様のニーズにあった更に合理的な対策法が導き出される可能性があります。当社はこれまでも土壌環境汚染対策ソリューション「ジオクリーン・ワークス®」※3を提供してきました。今後は、新たに開発した評価ツール「SGRT-T」を用いて、コスト、二酸化炭素排出量などの環境影響の側面や交通事故リスクといった社会影響の検討材料も加味した総合的な視点で判断し、お客様のご要望に沿った「ジオクリーン・ワークス®」をご提案します。
- ※1環境面だけでなく社会面・経済面も考慮した土壌汚染対策の意思決定の技術的手法。持続可能な土壌汚染対策とも呼ばれます。人の健康リスクや生態リスクなどの環境リスク低減だけでなく、措置に伴う外部環境負荷、さらに措置やその後の土地利用も含めた社会経済的な影響を考慮した上で、より持続可能な土壌汚染対策選択の意思決定を目的とします。欧米を中心に展開されており、現在、国際標準化(ISO化)に向けた検討が進められており、諸外国の土壌汚染対策の指針等に新たに「持続可能性に配慮した対策」の記述を加えようとする動きがあります。
- ※2揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)
- ※3ジオクリーン・ワークス:当社の土壌汚染対策ソリューションの総称
https://www.takenaka.co.jp/solution/needs/environment/index.html
持続可能性評価ツールSGRT-Tについて
複数の土壌汚染対策工法に対し、サイトの対象面積や深度、透水係数といった基本情報と、個別技術の薬剤使用量などを入力することにより、環境側面・社会側面・経済側面の中の重要な指標(環境負荷・社会影響・概算費用)を簡易に算出するものです。ライフサイクルアセスメントに基づき、VOCによる汚染土壌の対策工法(10種類)に関する外部環境負荷(SO2、NOx、PM10、CO2排出量、廃棄物量、原材料)や事故リスク(労働災害リスク、交通事故リスク)、措置費用の概算算出等も含まれた結果が算出されます。
ツールを使用するケース
- 1.対策が必要な土地に対し工法比較や対策方針を検討・提案する場合
- 2.複数の事業所から優先的に対策すべき事業所を選択する場合
- 3.工事着工前の近隣住民への説明会等の資料作成時
当社では2014~2015年8月にかけ、国立研究開発法人 産業技術総合研究所と共にSRの評価方法の基礎的な検討を進めました。本ツールは、この基礎的検討の発展形となり、これまでに、開発した本ツールを用いて種々のケーススタディを実施し、土木学会や、国際学会AquaConsoil 2015、SustRem 2016にて報告しました。
また、今後も国立研究開発法人産業技術総合研究所を主幹とした多様なステークホルダーとの意見交換の場である「サステナブルレメディエーションコンソーシアム」に参画し、サステナブルレメディエーションの概念の普及に努めて参ります。