実用ビルのZEB化改修でプラスエネルギーを達成
2017年5月17日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、現在当社の東関東支店として使用しているオフィスビル(2003年竣工)において、執務を続けながら、ネット・ゼロエネルギービルディング(ZEB)※を目指した改修を行い、2016年5月から本格運用を開始し、2017年4月で1年を経過しました。その結果、建物全体の年間エネルギー収支は、創エネルギー量がエネルギー消費量を上回り、プラスエネルギーを達成しました。
今回の当社の東関東支店での取組みは、実際に使用しているオフィスで、執務を続けながら改修し、ZEB化を達成した国内初の事例となります。本格的な外装の高断熱化、自然エネルギーを最大限活用したパッシブ化、きめ細かな環境制御技術とワークスタイルの変革によって、年間エネルギー消費量は、空調・換気、照明、その他に加えてコンセントを含めた建物全体で403MJ/m2・年となり、改修前と比べて70%以上削減されました。最小限の太陽光発電によって創エネルギー量は417MJ/m2・年となりました。
1年間の運用実績により、以下の効果が確認されました。
- ①建物全体の断熱性を高めることで外装負荷が大きく削減されるとともに、年間を通じて窓廻りでも温度差の少ない快適な室内環境を実現しました。
- ②自然採光を最大限利用し、外付けブラインドの開閉を自動制御することで、室内の明るさ感を確保し、かつ照明電力を大きく削減しました
- ③新規開発の小型デシカント空調機と地中熱・太陽熱を直接利用する放射空調によって、快適性を維持しながら、空調エネルギーを大きく削減しました。
- ④ウェアラブル端末を使った執務者の活動量計測や体感申告から個人の好みを学習し、最適な温度や気流を提供するウェルネス制御を実現しました。
- ⑤エネルギーが最小化されたことで、災害時にインフラがダウンしても建物の機能を維持する稼働時間が長くなり、BCPが大きく向上しました。
今後も当社は当プロジェクトで得られた知見を活かし、「ZEB Ready」「Nearly ZEB」「Net ZEB」といった、ニーズに応じ多様でお客様にメリットのあるZEB化の提案を行って参ります。
- ※ネット・ZEB(Net Zero Energy Building):年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ、またはマイナスの建物で、次の①及び②を満たす
- ①再生可能エネルギーを除き、基準一次消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減
- ②再生可能エネルギーを加えて、基準一次消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減
(経済産業省資源エネルギー庁定義) - ※ZEB Readyは上記の①を満たす建物
- ※Nearly ZEBは①を満たし、かつ②で75~100%の一次エネルギー消費量削減の建物
「竹中工務店東関東支店」建築概要
建物用途 | 事務所 |
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建築地 | 千葉市中央区 |
物規模/構造種別 | 地上2階/RC,S造 |
敷地面積 | 1,432m2 |
延床面積 | 1,318m2 |
設計・施工 | 竹中工務店 |
工事期間(改修) | 2015年10月~2016年3月 |