BIMを活用した設備施工管理の手法を構築
2017年11月1日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、設備施工管理業務にBIM情報を活用することで、施工状況を見える化し、施工管理を効率化する手法を構築しました。当社作業所にて実証を行った結果、施工管理に必要なチェックリストの自動出力や、検査報告書の自動作成などの省力化により、施工管理業務の効率化が確認されました。
当社は企画からアフターサービスに至るBIM活用により、設計施工プロセスを抜本的に変革することで生産性の向上を図り、お客様への付加価値やサービスの向上を目指していきます。
これまで建築現場の施工管理では、施工状況の確認のために施工図から必要内容を転記したチェックリストを作成し、現地確認時にそのリストに確認結果を記入していました。しかしながら、手作業によるチェックリストの作成や検査報告書の作成は多くの時間を費やすため、施工管理業務の一連の作業の効率化が課題でした。
そこで当社では施工管理記録の作成時間の短縮を目指し、施工管理記録をBIM上で一元管理できるように統合管理ソフト(BIM/CIM Ark)を用いて下記3点の手法を開発しました。
- ①BIMから自動でチェックリストを作成する手法
BIM上で部材を識別することが可能な属性情報を利用し、タブレット上のBIMに属性情報として直接入力することを可能としました。BIMに入力した施工管理記録は自動でチェックリストに変換可能です。 - ②BIM上でチェック済・未了を見える化する手法
BIMは、確認済/未確認の状況によって自動で色分けされて見える化し、検査の効率化が図れます。特に確認する部材が密集している箇所では現地確認の合理化が図れます。 - ③複数の部材で構成された系統に確認結果を付加する手法
配管水圧試験」のように施工検査の際に一般的に複数の部材をまとめて系統として管理している設備は、系統ごとに確認結果を一括して記録することができます。
プロジェクトでの検証・評価
当社設計施工の作業所(東京都新宿区)において、「スリーブ確認検査」と「配管水圧試験」を対象に施工管理記録の記入にかかる作成時間の短縮効果を検証しました。スリーブ確認検査において、従来手法と当手法による2パターンの結果を比較したところ、チェックリスト作成~現地確認~検査報告書作成までの一連の作業時間を25%削減することができました。
今後の展望
今後はこのBIMによる施工管理手法を当社のプロジェクトに広く展開していくとともに、2020年までに測定機器とBIMの連動、FMシステムや機器台帳とBIMの連動へと拡大し、BIMを活用した施工データの一元管理により、大幅な生産性向上と付加価値の高い建物の提供を目指していきます。