3次元メガトラス架構の初適用と3次元レーザースキャナーによるレリーフの復元再生を実施した大阪商工信用金庫新本店ビルが竣工
2017年12月5日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、新開発した3次元メガトラス架構の採用と、3次元レーザースキャナーによるレリーフの復元再生を実施した「大阪商工信用金庫新本店ビル(設計:安藤忠雄建築研究所、構造・設備設計:株式会社竹中工務店)」の工事を完了しました。
1. 3次元メガトラス架構の開発と採用
本建物は三角形の平面形状をデザインコンセプトとし、前面の大通りに向けて三角形の斜辺をファサードとしています。一般的な四角形の平面形状の建物とは異なり、三角形の平面形状の建物では、直交する2辺方向と斜辺およびその直交方向全ての平面剛性のバランスをとるのが難しく、特に図4に示す斜辺直交方向が構造的弱点となる場合があります。
本建物では、免震構造を採用することで平面的な剛性バランスによる影響を最小化すると共に、屋上の設備室に斜辺方向およびその直交方向の2方向にハットトラスを設け、節点を共有させることで、斜辺直交方向の地震や風荷重が作用した場合に柱に作用する引抜き力を分散させ、効果的に揺れを低減する「3次元メガトラス架構」(特許出願済)を開発・採用し、デザインコンセプトを実現しています。
2. 3次元レーザースキャナーを使用したレリーフの復元再生
既存建物の屋上部に設置されていた建築家・今井兼次氏デザインのレリーフ、フェニックスモザイク(作品名:糸車の幻想)のイメージを再現し、低層部西側のパブリックスペースに、新しく設置して市民に公開することで、旧建物の遺産の継承を図っています。
レリーフは免震上部に設置することで安全性を高めるとともに、建築分野の装飾物へ初適用となる3次元レーザースキャナーを使用した既存のレリーフの実測を行い、その座標情報及び色調情報を基に正確な再現を行いました。
当社では今後も、歴史的価値の高い建物・芸術品の保存に努め、まちの文化的価値の向上に貢献していきます。
プロジェクト概要
建物名称 | 大阪商工信用金庫新本店ビル |
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建築地 | 大坂市中央区 |
建築主 | 大阪商工信用金庫 |
建物用途 | 店舗、事務所、駐車場 |
階数 | 地下1階 地上12階 塔屋 1階 |
建物高さ | 1,247m2 |
延床面積 | 9,667m2 |
構造種別 | 地下RC造、地上S造(柱CFT造)、B1階柱頭中間層免震 |
建物竣工年月 | 2017年5月 |
設計/監理 | 安藤忠雄建築研究所 |
構造・設備設計/監理 | 竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店 |