「五感レスポンス®・ウェルネス・システム」の開発~五感の刺激に満ちた、健康な生活空間を創出する~
2017年12月13日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、センサーで認識した人の動きに応じて、映像や、音、香り、風などが連動して人の感覚を刺激することで、楽しみながら身体活動を促進できる「五感レスポンス®・ウェルネス・システム」(特許登録済)を開発しました。
高齢者を対象とした効果検証実験では、当システム体験後のポジティブ感情の増加が確認されており、リフレッシュやコミュニケーション誘発の効果が期待できます。
少子高齢化の急速な進展に伴い、社会保障費の拡大を抑制するため、健康寿命を延伸することが国の大きな課題となっています。このような背景のもと、当社は健康社会の実現を空間・まちづくりの面から追及する「健築®」※1を提唱し、取り組みを続けています。当システムはその一環として開発しました。建物の廊下や休憩スペースなど、人が日常的に利用する空間に設置することで、継続的に健康を増進することが期待できます。
- ※1「健築®」:
人と建築が寄り添うことで健康的な環境を実現することを目的とし、空間・まちづくりからの行動変容・健康増進を目指す取り組み。
1.当システムの特徴
イメージセンサーが人物を捉え、その人物のシルエットに併せて、自然や動物などの映像を壁などの空間に投影します(図1)。人物の動きに連動して、蝶や鳥などのイメージが反応して動き出し、風が吹き、香りが流れ、音が鳴り、それらが人の感覚を刺激します。当社は、人が「自分の動きに応じて受ける五感の刺激」を「五感レスポンス」と呼んでおり、「心地よさ」「安心感」「癒し」など五感レスポンスのもたらす効果によって、リフレッシュ・運動促進・コミュニケーションの誘発を行うことが当システムの目的です。道具を利用せず、手軽にちょっとした時間で体験できるため、人々が日常的に利用するさまざまな空間に設置することで、継続的に効果を得られることが特徴となっています。
2.効果の検証
高齢者を対象に、当システムの体験前後で「一般感情尺度(簡易版)」※2による検証を行いました。その結果、当システム体験後にポジティブ感情(元気な、いきいきした、うきうきした、調子がいい、楽しい)が0.6ポイントと大きく増加し(有意水準0.1%で有意な差)、効果を確認しました。(図2,図3)
また、国内外の展示会等で本システムを多数の方に体験して頂きました。体験者のアンケートでは、体験後に「身体の動き」「会話」「笑顔」が増えたと答えた人がほとんどでした。(図4,図5)
- ※2一般感情尺度(簡易版):
質問項目は15項目(ポジティブ感情、ネガティブ感情、安静状態の3因子、各5項目)。4件法(全く感じていない~非常に感じている)で質問。
3.今後の展開
今後、高齢者施設やオフィスでの健康増進、さらには商業施設での集客など、多建種に渡る市場への展開を図っていきます。また、認知症の周辺症状の改善、運動促進、コミュニケーションの誘発などによる健康増進や健康空間の創出に寄与していきます。