Fc300N/mm2の超高性能コンクリート(APC®)の極細柱「ペンカラム」を、「ザ・マスターズガーデン横濱上大岡」に初適用
2018年3月2日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:宮下正裕)は、超高性能コンクリート(APC®※1 特許出願済)において、
日本初となる最高強度Fc※2 300N/mm2までの生産技術証明※3を取得しました。また、このFc300のAPCコンクリートを用いた直径195mmのコンクリート極細柱「ペンカラム」を開発し、当社と野村不動産の共同事業として分譲中の集合住宅「ザ・マスターズガーデン横濱上大岡」に初適用しました。
- ※1APC:Advanced performance compositesの略で竹中工務店の登録商標です。APCコンクリートは、超高強度・高流動性,高耐火性,高靱性を兼ね備えた超高性能なコンクリートです。
- ※2Fc:設計基準強度。設計基準強度とは構造計算に用いる許容応力度を決定した強度のこと。(N/mm2)
- ※3生産技術証明:建築構造部材プレキャストコンクリート製品に用いるコンクリート強度が設計基準強度を上回ることを保証するための生産技術の証明のことです。
鉄筋コンクリート造の建物を軽やかなデザインにするために、庇やバルコニーなどの開口部を鉄骨の細い柱で支えることが多くあります。しかし、コンクリートと鉄骨といった異なる素材を接合するための対策や耐火被覆を鉄骨に施す必要性から期待ほど細い柱にならないといったデザイン上の制約がありました。
コンクリートの柱であればこれらの問題が生じないため、デザインの自由度が高まりますが、柱を細くするためには高い強度のコンクリートが必要となります。
今回、世界最高クラスの圧縮強度をもつFc300のAPCコンクリートを用いた、直径195mmのコンクリート極細柱「ペンカラム」を開発。「飛翔」をデザインコンセプトとし水平性を強調した全体構成が特徴の「ザ・マスターズガーデン横濱上大岡」の、エントランス庇を支える柱に「ペンカラム」を初適用し軽快なエントランス空間を実現しました。
当社はこれまでFc150以上の超高強度コンクリートを適用した実績が8件あります。今後は、マンションの高層階の見晴らし確保、大スパン化、柱の増設による安全性の確保などを目的に、デザインと安全性を両立する超高強度コンクリートの適用を広げていきます。
ペンカラムに採用されたAPCコンクリートは、世界最高クラスのFc300を実現するとともに、流動性、高耐火性、高靭性を兼ね備えた、従来の超高強度コンクリートには無い性能をもっています。また耐久性にも優れることから、かぶり厚さ※4を軽減できる国土交通省の特別評価方法認定※5を取得し、200mmを下回る直径195mmの細さを実現しました。
また、ペンカラムは、日本ERI株式会社にて部材としての構造性能評価を取得しているので、確認申請物件で使用可能です。ペンカラムの長期荷重支持能力は約900kNであり、単体で1時間以上の耐火性能を有していることを耐火実験により確認しています。
- ※4鉄筋コンクリートの設計に用いる項目の一つで、鉄筋からコンクリート表面までの最短距離のこと。
- ※5特別評価法認定:住宅の品質確保の促進等に関する法律の住宅性能表示制度では、性能評価を「評価方法基準」に基づいて行いますが、特別に国土交通大臣認定を取得する制度があります。APCコンクリートは耐久性が極めて高いため、独自の評価方法基準を設定し、一般財団法人日本建築センターの審査を受け、国土交通大臣の特別評価方法認定を取得しています。
開発のポイント
- ①安定的にFc300の圧縮強度を実現する
コンクリートを緻密にして圧縮強度を高めるため、セメント(シリカ粉末を含む結合材)と、これらの粒子の分散する化学混和剤を新たに開発し、セメントに対する水の割合を極限まで小さくし(10%未満)、かつ高い流動性が得られるようにしました。また、粗骨材及び細骨材を厳選、さらに高温加熱養生を採用しました。 - ②火災時の耐火性と地震の靭性を高める
有機繊維と鋼繊維のハイブリッド型補強技術をFc300用に高度化しました。 - ③断面の最小化と構造性能をバランス
柱の極細化と所要の構造性能(荷重支持能力・耐火時間)が得られるよう、鉄筋には高強度鉄筋を使用し、主筋は4-D19(SD685)、帯筋は閉鎖型のD6@100(σy785)としました。
「ザ・マスターズガーデン横濱上大岡」建物概要
建築地 | 神奈川県横浜市港南区上大岡東一丁目1066-1(地番) |
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建築面積 | 3,632.66m2 |
延べ床面積 | 8,996.68m2 |
建物用途 | 共同住宅(99戸) |
構造規模 | RC造 地上4階 |
設計・施工 | 竹中工務店 |