建物完結型バイオガスシステム「メタファーム」の適用範囲を拡大~生ごみ排出量1t/日のショッピングモール等でも高採算性を確保~

2019年6月17日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、当社が2010年に開発した3t/日規模の生ごみ排出量を対象とする建物完結型バイオガスシステム「メタファーム」※1(商標登録出願中)を改良し、1t/日の建物にも適用範囲を拡大しました。これによりショッピングモールや小規模な食品製造工場などの建物への適用が可能になりました。

「メタファーム」は、建物で発生した生ごみと厨房排水からオンサイトでバイオガスを生成し、エネルギー源として利用することにより、経済的に生ごみのリサイクルと省CO2を図ることのできるシステムです。生ごみは通常オフサイトで処理されますが、当社では「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)において、3t/日規模の生ごみ排出量を対象とした建物完結型処理システム「メタファーム」を初めて適用し、現在も安定的な運用が維持されています。更に、生ごみを水平方向に長距離搬送できるディスポーザーシステムを開発したことで、各フロアに配置したディスポーザーに生ごみを投入することが可能となりました。建物内運搬時の作業軽減、臭い・汚れの問題の解決に寄与しています。

この度、より多くの建物で導入して頂けるよう、1t/日規模の生ごみ排出量が見込まれる小規模な建物を対象として、省動力化やユニット化※2によるバイオガス設備の設置面積の縮小を図ることで、導入コストや維持に要するコストを低減しました。環境への配慮とともに採算性を確保しながら、ショッピングモールや小規模な食品製造工場などの建物への適用を実現しました。
バイオガス設備の小型化により、設置に必要な面積が従来の200㎡から80㎡に縮小したことで、自動車7台分程度のスペースがあれば、新築のみならず既存の建物へも増設が可能です。

なお、本システムは生ごみ排出量1t/日程度の設備の第1号案件として、国土交通省のサステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)に採択されています。

当社は今後、本システムの適用を通じて、世界的に課題となっているSDGsの推進やサーキュラー・エコノミー※3の構築への貢献を目指します。

  • ※1https://www.takenaka.co.jp/news/2010/05/02/index.html
  • ※2省動力化やユニット化にあたっては、(株)神鋼環境ソリューションの協力を得ています。
  • ※3サーキュラー・エコノミー:廃棄されていた資源を最大限に活用し、それらの価値を目減りさせずに永続的に再生・再利用し続ける経済システム。

「メタファーム」の商業施設への適用イメージ

「メタファーム」の技術概要

  1. ディスポーザー排水から生ごみを回収し、バイオガス設備でメタン発酵処理
  2. 厨房排水中の汚濁分も、バイオガス設備でメタン発酵処理
  3. 消化液(液肥)を厨房除害施設で排水処理
  4. 生ごみと汚泥を外部搬出することなく、バイオガスとしてエネルギー生成
「メタファーム」の仕組み
「メタファーム」の仕組み

「メタファーム」の特長

  1. 建物内で廃棄物をエネルギーに変換させる仕組みのため、オフサイトでの処理が不要となり、食品リサイクル率向上に貢献。
  2. 本システムの稼働に必要なエネルギー量よりも、生成されるエネルギー量の方が大きく経済的。余剰エネルギーは熱あるいは電気として建物内で使用。
  3. ①と②により、10年以内で初期投資費用を回収できる見込み。
  4. 生ごみを車でオフサイト処理施設へ運搬する必要がなくなり、交通量やCO2排出量も削減。
  5. 各所に設置したディスポーザーに生ごみを投入することで、建物内での人手による生ごみ運搬・搬出がなくなるため、作業軽減および臭気対策をはじめとする衛生維持に貢献。
  6. 新築の他、自動車7台分程度のスペースがあれば、厨房除害施設を有する既存の建物への増設が可能(1t/日の「メタファーム」の場合)。
  7. 防災や地震対策等の安全性に配慮しており、建物内での稼働が可能。