「ゼロ次予防」に向けて「歩き方が綺麗になる職場づくり」の共同実証を実施~歩行可視化システムを活用し、被験者の80%の歩き方が改善~

2019年12月9日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)とジャパンヘルスケア(代表取締役医師:岡部大地)は、ジャパンヘルスケアが開発した歩行可視化システム「ミラーウォーク(MIRROR WALK)」を活用し、「ゼロ次予防」に向けて「歩き方が綺麗になる職場づくり」を目指した共同実証を実施しました。その結果、被験者の80%の人に、歩き方の評価項目である「姿勢」、「腕振り」、「足運び」3項目の内いずれかの項目で改善が見られました。
「ミラーウォーク」は3Dデータから歩行を解析し、歩き方を可視化・点数化するとともに、AIがその人に合った歩き方を教えてくれるシステムです。利用者は、システムの前を数歩歩くだけで、シルエットと点数により、その場で自分自身の歩き方をチェックできます(写真1)。センサーなどを身につける必要はなく、システムの前を歩くだけでよいため、健康意識に関わらず気軽に利用できることが特徴です。

(写真1)「ミラーウォーク」のアウトプットイメージ 歩行に重要な3要素を点数化、その結果に応じてアドバイスが表示される
(写真1)「ミラーウォーク」のアウトプットイメージ
歩行に重要な3要素を点数化、その結果に応じてアドバイスが表示される

共同実証の概要

オフィス環境を整備することで歩き方の「質」を継続的にサポートし、綺麗な「歩き方」を習得できるかを検証しました。竹中技術研究所(印西市)に勤務する職員(40名)が、3カ月にわたり、オフィス内の主要動線に沿って設置した「ミラーウォーク」を1日1回利用しました。その結果、80%の人に、歩き方の評価項目である「姿勢」、「腕振り」、「足運び」3項目の内いずれかの項目で改善が見られました。
また、<グラフ1>に示すように、3項目のうち、「足運び」以外の「姿勢」と「腕振り」は統計学的に改善が認められました。
今回の実証では、①「ミラーウォーク」のみを利用したグループと、②「ミラーウォーク」の利用に加え専門医が日々の歩行時の動画を確認して個別指導を毎週実施したグループに分けて実施しましたが、歩き方の改善に関して②の個別指導による上乗せ効果は確認できませんでした。このことは、自分の歩き方を自分自身でチェックし、それを継続することの大切さを示唆していると考えます。

<グラフ1> 「姿勢」、「腕振り」、「足運び」の改善結果
<グラフ1> 「姿勢」、「腕振り」、「足運び」の改善結果

今後は、今回の結果を踏まえ、「ゼロ次予防」をもたらす「誰もが自然と健康になる社会」に向けて、竹中工務店は空間づくり・まちづくりの立場から、ジャパンヘルスケアは予防医療の立場から、更なるソリューション開発やサービス開発をおこなっていきます。

共同実証実施の背景

近年、建築環境と健康との関連が報告されています[1]。「ゼロ次予防」への関心が高まっている中で、竹中工務店は、”健築®”というコンセプトを掲げ、これまでの空間づくりやまちづくりの枠を超えて、誰もが健やかで、心豊かに生きていける場所を築いていくことに取り組んでいます。
人生100年時代を迎え、いつまでも自分の足で歩き続けるためには、綺麗な歩き方を継続していくことが必要です[2]。また、綺麗に歩くことは、疲れの軽減や足腰の痛みの予防にもなります。しかし、自分の歩き方を自分自身で客観的に見ることは難しく、綺麗な歩き方のサポートといった歩く「質」への具体的な対策がほとんどありませんでした。また、歩くという日常的な行為に対する継続的にアプローチする手段も限られています。

  • [1]Hanibuchi T et al. Perceived and Objective Measures of Neighborhood Walkability and Physical Activity among Adults in Japan: A Multilevel Analysis of a Nationally Representative Sample.Int. J. Environ. Res. Public Health(2015)
  • [2] Chehab EF et al. Baseline knee adduction and flexion moments during walking are both associated with 5 year cartilage changes in patients with medial knee osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage(2014)

関連ソリューション

当社は、誰もが健やかで心豊かに生きていける場所を築くため、「健築®」を掲げ、技術開発や情報発信などの活動を推進しています。