仕上工事のリアルタイム進捗管理アプリ「位置プラス®進捗」を開発~現場の情報共有にかかる手間を削減し、工事の進捗管理の効率化を実現~

2020年4月2日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、仕上工事における現場の進捗管理をPC・モバイル端末で簡単に管理できるアプリ「位置プラス®進捗」(特許出願済)を開発しました。作業員がスマートフォン等で部屋ごとの工事の進捗状況を登録することで、現場での情報共有をリアルタイムで行うことが可能となり、元請、協力会社、作業員それぞれの手間を削減します。
なお、本アプリは、当社がこれまでに開発した「位置プラス®」シリーズ※1に追加される4つ目のアプリとなります。

建築工事のうち、特に仕上工事の進捗状況は、部屋ごとに工事の作業手順を記した掲示を行い、作業終了時に掲示に進捗状況を記入することで、職長や現場監督等の工事管理者が情報を収集、進捗図等を作成し情報共有を図る方法が主流でした。しかし、この方法では、工事管理者の情報収集や進捗図等の作成業務、作業員との日々の調整業務に手間がかかることが課題でした。
「位置プラス®進捗」は、作業員がスマートフォン等で、部屋ごとに設置したシートの2次元 コードを読み込むことで、工事の進捗状況を登録することができるアプリです。工事管理者や作業員自身が、建設現場でよく使用される形式(鳥かご表※2、進捗図等)で、部屋ごとの工事の進捗状況をいつでもスマートフォン等で確認することができます。これにより、工事管理者や作業員が各部屋を確認して情報収集、作業調整する手間を削減し、進捗管理の効率化を実現します。

  • ※1「位置プラス®」シリーズ:職員や高所作業車の位置を探索できる「位置プラス®探」(2016年開発)、撮影した写真の位置をデジタル図面上に自動で紐付けできる「位置プラス®写」(2017年開発)、高所作業車の予約管理を行える「高車予約」(2018年開発)
  • ※2鳥かご表:集合住宅等の建築工事で部屋ごとの進捗状況を把握するために用いられる管理表。

本アプリの特長

  1. 各部屋の出入り口に設置したシートに記載された作業別2次元コードを読み取ることで、作業員が簡単に進捗状況を登録できます
  2. 登録された進捗状況を鳥かご表・棒グラフ・進捗図の3種類の形式で表示することができるため、目的に合わせて使い分けることができます
  3. 作業順序には、順序を飛ばすとアラートが表示される直列作業と、順序を飛ばしてもアラートが表示されない並列作業の2種類が設定できます
  4. 残工事がある状態で次作業へ移行するダメ残し※3を表現できます
  5. 作業員が着手可能な部屋を確認することができるため、工事担当者および作業員の作業前確認や調整にかかる時間を削減できるようになります
  6. 指定日数の期間中に作業に進捗があったかどうかを表示できるため、工事担当者が確認する必要のある部屋を限定でき、業務の効率を上げることができます
  7. 各部屋の作業に対して、その作業に要した人数が入力可能であるため、該当エリアの工事の施工数量(㎡数)と合わせることで、1部屋あたりの作業歩掛の算出に活用できます
  8. 部屋および作業順序等の各種設定は、ユーザーが任意に設定できるため、管理したい工事に合わせることが可能です
  • ※3ダメ残し:作業の大半は終わっており次の工事を始めるのに支障はなく、軽微な修正作業のみが残っている状態をいう。
「位置プラス進捗」使用イメージ
「位置プラス®進捗」使用イメージ

仮想プロジェクトでの試算

仮想の約10,000m2の集合住宅新築工事作業所において、本アプリを多くの職種が関係する内装工事で適用した前後での業務量差を試算しました。現場監督の場合、進捗情報収集および作業調整の時間が大幅に減少し、業務時間が最大で約80%の削減となります。また、アプリの登録業務が増えるものの進捗情報収集および作業調整の時間が減少することで、職長の場合は約65%、作業員の場合は約35%の業務時間削減となります。

今後の展望

当社は、本アプリを既に外販を進めている「位置プラス®」シリーズのアプリとして、2020年度中に外販いたします。本アプリを集合住宅やホテル等の仕上工事の進捗管理工数の大きい現場の全職種に適用すれば、元請ゼネコンは各部屋の工事進捗や人工の実績をデータとして把握できるようになり、管理効率が向上します。また、協力会社にとっても、作業所の工事進捗状況の把握を行うことができ、次作業の段取りや人員配置の効率化が期待できます。
当社は今後も、「位置プラス®」シリーズに様々な機能を拡充していくことで、建設IoTを全社的に推進するとともに、建設現場で働く職員・作業員等の業務時間削減、生産性向上に貢献していきます。