耐火集成木材「燃エンウッド® CLT耐力壁」(遮音仕様)を開発~集合住宅・宿泊施設等、界壁の遮音性能が必要な建物への適用が可能~

2021年9月27日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、耐火集成木材「燃エンウッド®※1CLT※2耐力壁」(遮音仕様)を開発し、建築基準法で定める界壁(隣戸間の壁)の遮音性能に対して国土交通大臣認定を取得しました。

今回、当社開発の「燃エンウッド CLT耐力壁」※3を改良し、耐火性能を持つ「燃え止まり層」と「燃え代層」に新たに「中空層」を組み合わせることで、遮音性を付与しました。これにより、建築基準法よりも高い遮音性能が必要とされる集合住宅・宿泊施設等への適用が可能となりました。2時間耐火の耐力壁としての性能と遮音性能を備えることで、適用できる建物種類が広がるとともに、建物の階数に関わらず木現しの壁として様々なプロジェクトに展開できます。

「燃エンウッドCLT耐力壁」(遮音仕様)の採用イメージ
「燃エンウッドCLT耐力壁」(遮音仕様)の採用イメージ

当社はこれまで、耐火集成木材「燃エンウッド」シリーズとして、柱・梁・耐力壁を開発してきました。2020年10月に、2時間耐火の耐力壁として国土交通大臣認定を取得した「燃エンウッドCLT耐力壁」は、地震の揺れに抵抗するとともに、建物の自重を支え、建物を構造的に守る役割を果たすことが可能な壁です。また、「燃エンウッドCLT耐力壁」(遮音仕様を含む)では、国産木材のスギ、ヒノキ、カラマツをはじめとしたJAS規格に適合するすべての木材が使用できます。
現在、「燃エンウッドCLT耐力壁」(遮音仕様を含む)の採用を検討しているプロジェクトが数件あり、1時間耐火と2時間耐火の「燃エンウッド柱・梁」シリーズと合わせて年間5~10件のプロジェクト適用を見込んでいます。
今後、当社は都市部の中高層を含む大規模木造建築に「燃エンウッド」を適用し、住みやすい・生活しやすいまちづくりの技術として展開します。また、政府の推進する公共建築物等の木造・木質化に貢献し、国内の森林資源の循環を通じて環境問題の解決にも取り組んでいきます。

  • ※1燃エンウッド:当社が2011年に実用化した耐火構造の木造部材
  • ※2CLT:木の繊維方向が直交するようにひき板を重ねて接着したパネル。鉄筋コンクリート造の部材より軽く、加工性・断熱性にも優れた厚みのあるパネル状の木材
  • ※3リリース 耐火集成木材「燃エンウッド CLT耐力壁」を開発(2021.02.03)
  • ※4建築基準法で定める遮音性能:TLD45(音響透過損失が125Hz帯域で25dB 、500Hz帯域で40dB、2000Hz帯域で50dB以上を上回ること)

「燃エンウッド CLT耐力壁」(遮音仕様)の概要

「燃エンウッド」と同様、CLTによる「荷重支持部」、石こう系SL材と木で構成された「燃え止まり層」、木材の「燃え代層」の3層で構成される耐火構造の木造部材であり、建物の自重を支える耐力壁の構造部材として用いられます。
「燃エンウッドCLT耐力壁(遮音仕様)は、新たに設けた「中空層」に「燃え止まり層」と「燃え代層」を組み合わせる方法で遮音性を確保しています。適用する建物によって空気層の厚さを変えることで、建築基準法に定める仕様(TLD45)と高性能仕様(A、B仕様:TLD60以上)が選定できます。今回、以下に示すA、B仕様が適用可能となるよう認定を取得しました。
Aの両面木現しは2枚の「燃エンウッド」に中空層を設けて組み合わせた壁部材です。Bの片面木現しは「燃エンウッド」に強化せっこうボード(GB-F)を組み合わせた壁部材になります。

関連ページ

当社は、技術革新を通じて日本の木材利用を促し、低炭素社会の実現と、地方創生につながるまちづくりを進めています。


関連リリース