亜寒帯気候に適合した木造木質中規模ウェルネスオフィス「北海道地区FMセンター」~北海道の森林資源循環、CO2削減、生産性を向上させる執務環境構築に貢献~
2022年1月25日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)は、「北海道地区FMセンター」※1の建て替えにあたり、脱炭素社会を目指した非住宅分野の建築における木材利用を推進することを目的に、木造木質中規模ウェルネスオフィス※2を実現しました。北海道の亜寒帯気候に適合した道内トップクラスの環境性能を持つことに加え、働く人の健康増進や生産性向上にも貢献します。
- ※1FMセンター:お客様の事業展開・施設運用などFM(ファシリティマネジメント)の視点からの企画からアフターサービスに至る支援業務をおこなう北海道支店の中核拠点
- ※2ウェルネスオフィス:利用者の健康、快適性の維持・増進を支援する建物
当センターには、オフィスなど大スパンの建物への一般流通木材の活用を可能にするために開発した新木架構システム「ダブルティンバー」(商標出願済)を初適用しています。これにより、通常は戸建住宅に使用される一般流通木材を活用し、100%道産木材(構造・仕上げ)による建築を達成しました。
木造木質建物としたことにより、一般的な鉄骨造建物と比べCO2の発生を70%低減しています。また、執務スペースを「亜寒帯気候の縁側」で囲む入れ子構成とし、外壁には半透明で断熱性能の高い素材を採用し多くの日射を取得することで、冬季の暖房エネルギーを抑え、環境性能と快適性を両立したオフィスとなっています。
さらに当センターは、環境認証として「CASBEEスマートウェルネスオフィス」の最高位となる「Sランク」と「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)」の「★★★★★(ZEB Ready)」を取得しています。今回の認証では、ABW(Activity Based Working)に基づくプランニングや豊富な地下水を利用した設備システム構築による省エネルギー化等について高く評価されました。
当社は今後、北海道における木造木質建築を推進することで、持続可能な森づくりや木をめぐる産業の活性化、魅力的なまちづくりを目指し、北海道の森林資源循環に貢献していきます。また、当センターを亜寒帯の気候を考慮したウェルネスオフィスのプロトタイプとして活用することで、北海道においてより快適に働くことのできる建物を実現していきます。
北海道地区FMセンターの特長
① 木のイノベーションー森林資源の新しい使い方ー
北海道の林業の課題として、道産木材は造林から50年を経て利用期にありますが、建築用材として低い利用率となっていることと、大断面集成材工場が道内にないことが挙げられます。この課題に対し、道内の工場で加工できる小断面流通材(120角)の道産材(カラマツ)を用い、3.64×4.55mのスパンを実現するダブルティンバー(特許申請中)を開発しました。この構造システムを用いることで上記2つの課題を克服し、木造在来軸組工法の非住宅建築への展開に挑戦しています。その結果、北海道の「森林グランドサイクル」※3の実現につなげていき、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献します。
- ※3森林グランドサイクル:森林とまちをつなぎ、森林資源の循環と木材を活用した地域経済の循環を構築すること。当社の登録商標
➁ 道内トップクラスの環境性能を持つ北海道らしいウェルネスオフィス
年間を通じて気温の低い北海道においては、冬の日射をいかに取得・活用するかが、快適性やエネルギー利用の観点から重要になります。当センターでは、執務スペースの周囲に中間領域(共創スペースや廊下等)を配した入れ子構成を採用することで温熱環境を考慮し、南西面に半透明で断熱性能の高い「中空ポリカーボネート」を採用することで、より多くの日射(光・熱)を取得し、かつ冬季の暖房エネルギーを抑えています。
また、開口部はシミュレーションによって、風(卓越風)が通り抜けやすい最適なサイズ・位置を導き出し、自然換気が機能する快適な環境づくりを目指しました。気候を考慮した半透明な外壁や開口部が、印象的なファサードとなっています。
当センターは道内屈指の環境性能を実現することに加え、ここで働く人たちにとって快適なウェルネスオフィスを実現しています。
北海道地区FMセンター概要
建築地 | 北海道札幌市中央区 |
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構造/規模 | 木造/地上2階 |
延床面積 | 856.46㎡ |
設計・施工 | (株)竹中工務店 |
工期 | 2021.4~2021.11 |
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当社は、技術革新を通じて日本の木材利用を促し、低炭素社会の実現と、地方創生につながるまちづくりを進めています。