建築仕上げ材(ボード材)加工アシスト機「i-Bow2(アイボーツー)」を開発

2022年9月30日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、株式会社爽美(本社:大阪市北区、社長:小野田拓也)と共同で、生産性及び品質向上を目的として建築内装仕上げ材(ボード材等)の加工アシスト機「i-Bow2(アイボーツー)」(*1)を開発しました。
「i-Bow2」は、2020年に開発した「i-Bow (アイボー)」(*2)の発展型で、複数台の試作機による現場試行で得た知見とニーズを反映し、ボード材等の加工作業の無人化(業務自動化)を実現しました。
新たに指で容易に作図入力が可能なユーザーインターフェイスのアプリ「YUBI CAD」の開発を行うとともに、高性能なセンサを用いて「i-Bow」からバージョンアップしたたわみ補正機能と、複数端末からの同時接続(Wi-Fi接続)機能を追加しました。また可変式によるコンパクト化及びキャスター搭載による可搬性の向上を図りました。これらにより従来は手作業で行っていたボード材等の加工作業を無人化し、建設現場における生産性の飛躍的向上を実現し、働き方改革の推進、建設業の魅力向上を目指します。
本機の販売については、株式会社爽美より2022年12月から近畿圏においてスタートする予定で、レンタルについても2023年ころより展開していく予定です。

  • *1株式会社爽美より商標登録出願済み
  • *2当社、株式会社爽美、株式会社アクティオ、株式会社カナモト、朝日機材株式会社、AvalonTech株式会社にて特許出願済み

開発の概要

専用アプリ「YUBI CAD」を新たに開発

加工したい図形や曲面を、誰でも直感的に指で作図入力が可能なユーザーインターフェイス「YUBI CAD」(スマートフォン・タブレット専用アプリ)を新たに開発しました。本来であれば、PCからCAD/CAMソフトウェア(コンピュータ数値制御を用いた工作機械を動作させるためのソフト)を用いてi-Bow2を操作する必要がありますが、CAD/CAMを使えない人でも簡単にスマートフォン・タブレットで操作可能なCAD/CAMアプリケーションを製作し、ユーザーインターフェイスを使いやすくカスタマイズしました。
「YUBI CAD」には加工データの保存・編集機能に加えて豊富な図形テンプレートがあり、H鋼やデッキプレート等の切り欠き加工が容易になります。それらの図形情報をオフィスで作図する事も可能で、WEB端末上から相互に送受信ができます。結果、複雑な形状の加工や同一形状の加工を効率的に行うことができ、蓄積した図形情報をユーザ同士で共有できるので現地での作業効率が向上します。

「YUBI CAD」操作状況
「YUBI CAD」操作状況

バージョンアップした「たわみ補正システム」

高性能なセンサで原点位置を測定、切削する部分のボード表面を30㎜ピッチで順に測定し、原点及び一つ前に測定した数値との差を計算した値を基に、切削刃の垂直方向移動量を制御することによって、高精度なたわみ補正を実現しました。
これにより従来の「i-Bow」よりもボードのたわみ量や本体フレームのたわみ量を正確に補正でき、積み重ねられたボードの連続加工が高速で行えます。

高性能センサによるたわみ測定状況
高性能センサによるたわみ測定状況

1台の「i-Bow2」に複数の端末からWi-Fiで同時接続し順次ボード加工が可能

作図した加工形状は離れた場所からでもWi-Fiで「i-Bow2」本体に送信し、ボードを自動加工することができます。

複数端末での運用の概念図
複数端末での運用の概念図

可搬性に優れたトランスフォーム機構を開発

本体の加工台を90°回転させる事で全幅が小さくなる機構を開発しました。作業時の全幅は1,130㎜ですが、加工台を90°回転すれば全幅は950㎜となり、一般的な室内の扉の開口部における移動がスムーズに行え、格納もコンパクトに行えます。可搬性に優れ軽量なため、商用バンにも積載が可能です。さらに、電源は100Vを使用し作業環境を選ばない設計となっています。

i-Bow2トランスフォーム機構
i-Bow2トランスフォーム機構

仕様

重量 約120㎏
サイズ
※()は格納時の寸法
全長:2,230㎜(2,230㎜)
全幅:1,130㎜(950㎜)
高さ:1,200㎜(1,480㎜)
対応OS Android6以降(iOS対応予定)
その他 現場内の移動・格納を念頭においたコンパクト設計