三菱UFJ銀行とポジティブ・インパクト・ファイナンスの融資契約を締結

2023年3月31日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、三菱UFJ銀行(取締役頭取執行役員:半沢淳一)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を限定しない事業会社向け投融資タイプ)」の融資契約を締結しました。

「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」とは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)(※1)が策定したポジティブ・インパクト金融原則(※2)及び同実施ガイドラインに基づき、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資です。
三菱UFJ銀行の「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」は、「持続可能な開発の3つの側面(経済、環境、社会)のいずれかにおいて潜在的なマイナスの影響が適切に特定され緩和され、なおかつ少なくともそれらの一つの面でプラスの貢献をもたらす」ことを企図するファイナンスです。
本契約の締結にあたっては、三菱UFJ銀行と三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が策定された「ポジティブ・インパクト・ファイナンス フレームワーク」に基づいて、SDGsの目標達成に対しインパクトを与える活動として、当社の事業および重要課題(マテリアリティ)を中心に評価されました。「ポジティブ・インパクト・ファイナンス フレームワーク」は、株式会社日本格付研究所より、国連環境計画・金融イニシアティブによる「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合している旨の第三者評価(※3)が取得されています。

当社は、企業活動を通じて取り組むべき課題を2020年に重要課題として抽出しました。2023年より、その重要課題に対して国際的なガイドラインや企業環境の動向も踏まえ、見直しを行いました。また、当社が培ってきた伝統や企業文化の特色にも着目しながら、社会課題の解決と自社グループの持続的な成長を目指し、「持続可能な建築・まちづくり」や「環境との調和」などの分野で、特に当社グループならではの重要課題を設定しています。
当社グループは今後も引き続き、SDGsの達成とサステナブル社会の実現に貢献していきます。

■ポジティブ・インパクトの創出を維持および、ネガティブ・インパクトの緩和・管理に関して評価された当社の主な取り組み内容と目標、モニタリングが実施される項目

テーマ 評価された取り組み内容 目標・モニタリング項目
グリーンインフラの導入

生物多様性向上プロジェクトの推進
・環境負荷が少なく、災害に強く、健康を増進する都市・地域の実現を図り、グリーンインフラの整備や維持管理に多様な人が参加できる都市・地域の創生を企図。

・当社の設計するプロジェクトを通じて自然が持つ多様な機能を活かした最適な土地利用を推進するため、生物多様性に着目し、地域の植生や土地利用の歴史への配慮、生態系ネットワーク創出、関係者参画による計画・設計から竣工後の維持管理・運営までの一貫した取り組みなどの活動の実施。
【目標】
・2025年まで、生物多様性向上プロジェクトを毎年12件実施
・30by30の達成に向けて、自然共生サイトへの登録
【モニタリング項目(KPI等)】
・生物多様性向上プロジェクト数
・自然共生サイトへの登録状況
ZEB・エネルギーマネジメントの推進 ・自然通風や自然採光を取り込んだパッシブな設計や、様々な技術の採用・開発などによる徹底的な省エネルギー設計と再生可能エネルギー活用により、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を拡大。 【目標】
・2025年:ZEB oriented以上のプロジェクト件数 32件
・2025年:ZEB ready以上のプロジェクト件数 26件
【モニタリング項目(KPI等)】
・ZEB orientedプロジェクト件数
・ZEB readyプロジェクト件数
木造・木質建築の推進 ・2016年9月に木造・木質建築推進本部を設置し、木材使用量の多いプロジェクトをお客様ニーズに沿って創出。
・耐火木造技術や中高層木造技術の開発を通じて、木造・ 木質建築の普及と国産木材の活用を進める取り組みを実施しており、当社が開発した耐火集成材「燃エンウッド®」やCLTなどの豊富な木造ソリューションにより中高層木造建築を推進。
【目標】
・2025年:木造・木質利用促進建築件数(床面積1㎡当たり木材使用量0.001㎥以上) 5件
【モニタリング項目(KPI等)】
・木造・木質利用促進建築件数
文化・伝統の保全・推進に関する取り組み ・当社が目指す「まちづくり総合エンジニアリング企業」の中核的な役割を担う組織として、2017年10月に 「まちづくり戦略室」を設置し、「MACHInnovation® (マチノベーション)」と名付けた活動を推進。 【目標】
・2025年:「MACHInnovation®(マチノベーション)」につながる取組(社会システム実証等活動)の累積件数 12件
【モニタリング項目(KPI等)】
・「MACHInnovation®(マチノベーション)」につながる取組(社会システム実証等活動)の累積件数
ダイバーシティの推進 ・性別、国籍、年齢、障がいの有無などに関わらず、誰もが活躍できる職場環境の実現を目指し、女性活躍の促進・職域拡大に取り組んでおり、けんせつ小町工事チームの活動促進など、作業所での女性活躍環境づくりを継続的に実施。
・育児と仕事の両立支援において、2020年に育児・介護のための在宅勤務及び短時間フレックスタイム制度の導入、また外勤を対象にバリアブル勤務の導入、全社員を対象に時間単位年次有給休暇の導入など、フレキシブルな働き方を可能にする施策を実施。
・2021年女性管理職比率4.8%
【目標】
・2025年までに女性管理職比率8%
【モニタリング項目(KPI等)】
・女性管理職比率
GHG排出量の削減 ・バイオマス発電によるCO2フリー電力を採用するなど、再生可能エネルギーの導入を推進。(Scope1,2排出量)
・建設材料の低炭素化。(Scope3排出量)
・ECMコンクリート®/ECMセメント(セメントの60~70%を、鉄鋼を製造する際の副産物である高炉スラグの粉末に置き換えることで、コンクリート由来のCO2排出量を6割削減できるコンクリート)の活用。(Scope3排出量)
・鉄骨において電炉鋼(高炉鋼の約半分のCO2排出原単位)を積極的に採用。(Scope3排出量)
・空調ダクトにおいてエボルダン®(ダンボールとアルミによるエコダクト)を積極的に採用。(Scope3排出量)
【目標】
・2030年CO2削減率(2019年比)
  Scope1,2:46.2%
  Scope3:27.5%
・2050年カーボンニュートラル(2019年比)
【モニタリング項目(KPI等)】
・CO2排出量(削減率)
新築工事の建設廃棄物発生の抑制 ・環境負荷の少ない資材のグリーン調達や技術開発、建築生産・解体技術の革新に向けた取り組み。 【目標】
・2050年まで新築工事の建築副産物リサイクル率100%(容積比)(=焼却・埋立の割合をゼロに)
【モニタリング項目(KPI等)】
・新築工事の建築副産物リサイクル率(容積比)
従業員の労働時間の抑制 竹中新生産システムにて、改正労働基準法に向けた生産性向上のため以下のような取り組みを実施。
・生産性向上効果の高い施工計画(最適構工法、工程計画など)の早期検討(設計段階~着工前)。
・特定のBIMソフトに依存しないオープンBIM方式による効果的な関係者との連携。
・現地工数の削減をめざしたオフサイト化推進(施工のフロントローディング)。
・最先端のデジタル技術・建設機械・ロボット等の効果的な生産性向上技術の適用。
【目標】
・2023年度末まで4週8閉所達成率 100%
【モニタリング項目(KPI等)】
・4週8閉所達成率
公衆災害・労働災害の抑制 ・労働災害を自分事として学べるVRコンテンツを製作し、作業員の知識・意識の向上教育に活用。実際に起こった災害事例をもとに実写で構成し、実際に体験したかのようなリアルな教育が可能となり、経験の浅い作業員や若年作業員にも理解しやすい内容となっている。 【目標】
・各年;重大な公衆災害・労働災害発生件数 0件
【モニタリング項目(KPI等)】
・重大な公衆災害・労働災害発生件数
  • (※1)国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)
    国連環境計画(UNEP)は、1972年に「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」の実行機関として設立された国連の補助機関。UNEP FIは、UNEPと200以上の世界の金融機関による広範で緊密なパートナーシップであり、1992年の設立以来、金融機関、政策・規制当局と協調し、経済的発展とESG(環境・社会・企業統治)への配慮を統合した金融システムへの転換を進めています。
  • (※2)ポジティブ・インパクト金融原則
    UNEP FIが2017年1月に策定した、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた金融の枠組。企業がSDGs達成への貢献をKPIで開示し、銀行はそのプラスの影響を評価して資金提供を行うことにより、資金提供先企業によるプラスの影響の増大、マイナスの影響の低減の努力を導くもの。
    融資を実行する銀行は、責任ある金融機関として、指標をモニタリングすることによって、インパクトが継続していることを確認します。
  • (※3)ポジティブ・インパクト金融原則への準拠性、活用した評価指標の合理性についての第三者評価
    株式会社日本格付研究所のウェブサイトをご参照ください。https://www.jcr.co.jp/greenfinance/