日本初、木材を用いたCFT柱・鉄骨梁の耐火被覆技術「KiPLUS® TAIKA」で2時間耐火の認定取得~建物の耐火性能を確保しつつ、豊かな木あらわしの空間を構築~
2023年10月16日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)は、一般流通木材を用いたCFT柱の耐火被覆技術「KiPLUS TAIKA for CFT」(特許出願済)と鉄骨梁の耐火被覆技術「KiPLUS TAIKA for BEAM」を開発し、各々日本で初めて「国土交通大臣認定 耐火構造部材(2時間耐火)」を取得しました。また、「KiPLUS TAIKA for BEAM」は、日鉄エンジニアリング(社長:石倭行人)との共同開発です。
建築基準法では、建物の階数に応じて耐火性能が定められており、建物の最上層から数えて14層までの範囲には2時間耐火性能が求められます。(4層までの範囲は1時間耐火性能)。そのため、CFT柱や鉄骨梁には耐火性能を確保するための耐火被覆部材を付加することが必要となり、一般的には無機系の材料が使用されています。
今回開発した「KiPLUS TAIKA」は耐火被覆材として一般流通木材を使用しており、火災時には、耐火被覆材として巻き付けた木材が炭化を伴いながらゆっくり燃えてCFT柱や鉄骨梁への熱の侵入を抑制します。これにより、CFT柱と鉄骨梁により構成された14層までの建物において耐火性能が確保されるとともに、木あらわしの空間が実現できます。
「KiPLUS TAIKA」では、入手しやすい一般流通木材を使用することで、多くの工場での生産が可能です。加えて、強度が低く構造材としては適さない木材も活用することができ、原木を無駄なく活用できます。
当社は、木による付加価値向上技術として、従来のRC造やS造の架構システムの一部に木をあらわしで使用しながら遮音、耐震性能などの一部を補完する設計技術体系「KiPLUS」シリーズを開発、展開してきました。本技術はそのラインナップの一つであり、「KiPLUS WALL」に続く第2弾です。
今後も、「燃エンウッド」や「KiPLUS」シリーズなどの耐火木造技術や中高層木造技術を通じて、木造・木質建築の普及と国産木材の活用に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
「KiPLUS TAIKA」(2時間耐火)の概要
「KiPLUS TAIKA for CFT」は、荷重支持部となるCFT柱の周囲にアングル・鋼板等を用いて一般流通木材を取り付け、木材と鉄骨の間の空気層が断熱性能を向上させる断面構成としています。
「KiPLUS TAIKA for BEAM」は、鉄骨梁の周囲にせっこうボードと一般流通木材を取り付けた断面構成としています。梁に設備配管用の貫通孔を設けることも可能です。
耐火試験の概要
耐火構造部材の大臣認定を取得するためには、公的試験所による性能評価試験に合格する必要があります。耐火試験炉内で試験体を2時間加熱し、終了後、耐火試験炉内で放冷します。このとき、耐火試験炉の内部は約1050℃まで上昇します。加熱終了後、加熱時間の3倍以上炉内で放冷し、柱にあっては鋼材温度による判定として鋼材の平均温度が350℃かつ最高温度が450℃を超えないことおよび、梁にあっては載荷による判定として、最大たわみ量、最大たわみ速度が一定の値以下となることが合格の条件となります。