高流動・無収縮タイプコンクリート「ファインリード®F」を開発し、初適用したプロジェクトの美観維持を確認~コンクリート打込みの省力化・施工性および建物の美観・耐久性を向上~
2023年10月30日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木 正人)は竹本油脂(社長:竹本 元泰)と共同で、高流動・無収縮タイプコンクリート「ファインリードF」(特許取得済)を開発しました。高い流動性によりコンクリート打込み作業を省力化して施工性を改善するとともに、コンクリート表面のひび割れを抑制して建物の美観を保ち耐久性を向上します。
本技術を自社開発事業プロジェクト「代々木参宮橋テラス」に初適用し、竣工後半年以上を経てもコンクリート表面にひび割れが生じず美観を維持していることを確認しました。
この度の「ファインリードF」の実用化により、施工性と美観・耐久性の向上を狙いとする高機能コンクリートのメニューが出揃いました。用途や求められる性能、コストなどに応じて4種類の高機能コンクリートを適材適所で使い分けることが可能となります。
施工性と耐久性の向上を狙いとする高機能コンクリートのメニュー
名 称 | 特 長 | 適用箇所 | 開発年 |
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ファインリードF | 高流動+無収縮 | 施工難度の高い化粧打放し壁など | 2023 |
高流動・低収縮コンクリート | 高流動+低収縮 | 施工難度の高い壁・床など | 2022 |
ファインリード | 無収縮 | 意匠性の高い化粧打放し壁など | 2016 |
低収縮コンクリート | 低収縮 | ひび割れ対策が必要な壁・床など | 2007 |
代々木参宮橋テラスのプロジェクト概要
所在地 | 東京都渋谷区 |
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事業主・設計・施工 | 竹中工務店 |
延べ床面積 | 6,906㎡ |
構造/規模 | RC造/地上4階 |
工期 | 2021.11~2023.2 |
エントランス部と外構部の杉板本実化粧打放し仕上げ壁にファインリードFを適用
竣工後半年以上を経ても表面にひび割れが発生せず美観を維持していることを確認
近年、地球環境保全の観点から建築物の品質や長寿命化への関心が高まっています。一方建設業界においては施工の省人化や技能熟練工不足への対応が求められています。
当社は今後、社会やお客様の要請および建設業界の課題解決に応えるべく、施工の省力化・施工性向上および建物の美観維持・耐久性向上に優れる高機能コンクリートを積極的に展開していきます。
【「ファインリードF」の技術概要】
施工性および美観・耐久性を向上するには、流動性を高める混和剤および収縮・ひび割れを低減する混和剤を普通コンクリートに添加します。
「ファインリードF」用の混和剤は、2022年に開発した骨材とセメントなどの分離を抑制しつつ流動性を高める成分、および2016年に開発したコンクリートの収縮・ひび割れを低減する成分をベースに、配合見直しなどの改良を加えた一液型※1の高性能AE減水剤※2です。
- ・高い流動性によって、バイブレータ等によるコンクリートの充填・締固めに要する労力や時間が大幅に削減され、施工性の改善に寄与します。
- ・硬化後の収縮量をほぼゼロにします。骨材などの材料の分離とひび割れの発生が抑制されることによりコンクリートの中性化を遅らせ、美観維持と耐久性向上に寄与します。
- ・乾燥収縮の小さい石灰砕石※3が利用可能な全国の生コン工場において、市販の膨張材と新開発の高性能AE減水剤を通常の混和剤と同様の方法で添加することで、容易に製造可能です。
- ・強度、硬さ(ヤング係数)などの一般的な性能は普通コンクリートと変わりありません。
- ※1一液型:複数の混和剤を混ぜ合わせて1つの液体にしたもの。コンクリート製造時に複数の混和剤を添加する煩雑な作業が不要となる。
- ※2高性能AE減水剤:水およびコンクリートに水量低減などの特別の性質を与えるために必要に応じて加える混和剤。
- ※3石灰砕石:高性能AE減水剤とともに、コンクリートの収縮を低減するための重要な構成材料。