CLTを天井面に活用し温かみのある室内空間を実現する3つの工法を開発~KiPLUS®シリーズの第3弾 床への展開~
2024年5月9日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)は、CLTを天井面に使用し、温かみのある室内空間を実現するための3つの床工法を開発しました。いずれの工法も、CLTとコンクリートスラブ(床を構成する構造体)の組み合わせで構成されています。スラブが持つ構造性能(強度や耐久性)をCLTが高めることにより、梁の少ない開放感のある空間の実現や、施工性を向上させ工期が短縮される等のメリットが生まれます。
以下が3つの工法です。
「KiPLUS DECK」(特許出願済):CLTとデッキ合成スラブ※1を組み合わせた工法。
日鉄建材(社長:美濃部 慎次)との共同開発です。
「KiPLUS SPANCRETE」(特許出願済):CLTとプレキャストコンクリート※2スラブ
「スパンクリート」を組み合わせた工法。スパンクリートコーポレーション(社長:村山 典子)との共同開発です。
「KiPLUS SLAB」(特許出願済):CLTと現場打ちスラブを組み合わせた工法。
- ※1薄い鋼板を凹凸状に折り曲げたデッキプレートの上にコンクリートを打設し、一体的に荷重を支える床システム
- ※2コンクリート部材を設備の整った工場で製造し、現地に持ち込んで組み立てる工業化工法
当社は、木材による付加価値向上技術として、従来の鉄筋コンクリート造や鉄骨造の架構の一部に木をあらわしで使用しながら、遮音・耐震性能などの一部を補完する設計技術体系「KiPLUS」シリーズを開発・展開してきました。本技術は「KiPLUS WALL(壁)」「KiPLUS TAIKA(柱・梁)」に続く第3弾です。今回の床シリーズの完成により、建物を構成する主な要素である柱・梁・壁・床の全てがラインアップされました。
今後も「KiPLUS」シリーズをはじめとする当社の中高層木造技術を通じて、木造建築・木質建築の普及と国産木材の活用に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
「KiPLUS DECK」の概要
一般的な建物に多く使われているデッキ合成スラブの下面に取り付けたCLTの補強効果により、デッキのスパンを最大で25%伸ばすことができます。その結果、小梁やデッキの板厚を削減し、資材量を減らして環境負荷を低減することができます。デッキとCLTを工事現場にて組み合わせるシンプルな施工方法を採用しローコスト化も図っています。
「KiPLUS SPANCRETE」の概要
プレキャストコンクリートスラブであるスパンクリートの下面にCLTを接合した床システムです。最大で10mを超える大きなスパンを小梁なしで掛け渡すことができ、CLTの補強効果により床の変形や・振動を抑制することができます。
工事現場での取り付けが困難な大型のCLTも工場で取り付けることができ、大面積の木仕上げ天井を実現できます。
「KiPLUS SLAB」の概要
CLTの上面に鉄筋を接合し、それを型枠としてコンクリートを現場施工してスラブを作る床システムです。鉄筋が補強材となることでスパンを大きくでき、仮設を簡易化できるため、ローコスト化を実現できます。コンクリート硬化後は、下面のCLTが床の変形や振動を抑制します。
CLTの板同士の間に天井設備を取り付けるためのレールを組み込むことで、テナントの入替時にもCLTを傷つけずに設備・照明のレイアウトを変更することもできます。