省エネルギー・省CO2・省資源型サーキュラーコンクリートの開発に着手 コンクリート廃材から骨材を回収・再利用し、サーキュラーエコノミーに貢献

2024年8月28日
株式会社竹中工務店
鹿島建設株式会社
株式会社栗本鐵工所
コトブキ技研工業株式会社
三和石産株式会社
成友興業株式会社
八洲コンクリート株式会社
吉田建材株式会社

竹中工務店(社長:佐々木正人)、鹿島建設(社長:天野裕正)、栗本鐵工所(社長:菊本一高)、コトブキ技研工業(社長:奥原祥司)、三和石産(社長:中田泰司)、成友興業(社長:細沼順人)、八洲コンクリート(社長:桐生了英)、吉田建材(社長:吉田博)は、共同研究先の明治大学、業務委託先の竹中土木とともに、省エネルギー・省CO2・省資源型サーキュラーコンクリートの開発※1に着手しました。
サーキュラーコンクリートは、CO2排出量を削減する環境配慮型セメント※2と、解体コンクリート※3から製造する再生骨材や戻りコンクリート※4から取り出す回収骨材(あわせてリサイクル骨材)を使用するコンクリートです。コンクリート体積の7割を占める骨材の回収・再利用技術の開発により、コンクリートのサーキュラーエコノミーに貢献します。

  • ※1国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」の重点課題推進スキームで実施
    https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100197.html
  • ※2環境配慮型セメント:従来よりもCO2排出量が少ないセメント
  • ※3解体コンクリート:建物などの解体時に生じるコンクリート廃材
  • ※4戻りコンクリート:建物などの新築工事で余剰となり、生コン工場に返却されるコンクリート廃材
コンクリート利用サイクル:現状(左)と本開発実用化後(右)の比較
コンクリート利用サイクル:現状(左)と本開発実用化後(右)の比較

開発の背景

我が国では、コンクリートの材料として年間約1.4億トンの砂利や砂などの天然骨材を山から採取しており、天然資源の保護や環境負荷の低減が課題となっています。
また、建物などの解体に伴って年間約4,000万トンの解体コンクリートが発生します。その大半が破砕され道路用路盤材としてダウンサイクル※5されてきましたが、近年は都市部における道路建設需要が激減しています。このため、道路需要の残る地方部に路盤材を運搬せざるを得ない状況となっています。
さらに、建設現場で余剰となり生コン工場に返却される戻りコンクリートが年間約400万トン発生しています。硬化前に洗浄し骨材を回収することでコンクリートへの再利用は可能ですが、再利用できる骨材は自社の生コン工場での発生分に限られ十分な量を回収できません。再資源化工場に集積して骨材を回収することも可能ですが、現状ではこれを再利用するための技術基準がありません。そのため多くは硬化させてコンクリート廃材と同様に道路用路盤材として再利用されていますが、上述の課題があります。

  • ※5ダウンサイクル:廃棄されるものを原料にしたり、別の素材として使用したりするなどして、価値が低いものに生まれ変わらせること

開発の概要

下記5つの技術開発を通じ、リサイクル骨材をコンクリートに再利用する水平リサイクル(同一用途で再利用)を実現します。また、その流通を都市部で完結させるしくみを構築し、遠方への運搬で排出されるCO2の削減に貢献します。

  1. 省エネ・低価格・高処理能力の再生骨材製造装置の開発および既存の製造装置の改良
  2. 再生骨材の効率的な製造・品質管理手法の開発
  3. 戻りコンクリートを再資源化工場に集積し、回収骨材として利用するしくみの開発
  4. 環境配慮型セメントとリサイクル骨材を使用したサーキュラーコンクリ-トの開発
  5. 再生骨材製造時に発生する副産物(微粉)の用途開発

今後の展望

まず、関東圏の都市部におけるサーキュラーコンクリートの社会実装を目指します。これにより、天然骨材の消費とともに、資材の輸送を含む消費エネルギーを削減します。次に、このしくみを他の都市部に展開し、再生骨材製造装置、リサイクル骨材、およびこれらを使用したサーキュラーコンクリートの市場を開拓することにより、コンクリートに関わる環境負荷の低減を目指します。
この取り組みは、鹿島建設および竹中工務店らが幹事会社を務めるCUCO※6がグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」で開発中のカーボンネガティブコンクリートとも密接な関連があり、さらなるコンクリートの環境負荷低減技術の社会実装・普及拡大に繋がることが期待されます。