大型総合病院として国内最高値の省エネ性能でZEBを実現―小田原市立病院 ZEB Ready(BEI=0.43)を認証取得―

2024年10月17日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、 2026年竣工予定の小田原市立病院(神奈川県小田原市)において、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS*1)のZEB Ready*2(BEI*3=0.43)を認証取得しました。国内の同規模の標準的な病院と比較し、一次エネルギーの年間消費量を57%削減し、1万㎡超の総合病院で国内最高の省エネ性能を実現しました。
総合病院は、日夜患者の治療にあたることから24時間365日体制で施設を稼働させるため、エネルギー消費量が非常に多い特性を持つ建物です。また、感染対策などの安全性や医療継続性を求められることから、大容量の設備システムで構成されることが多く、他の用途の建物と比較して省エネルギー化が難しい傾向にあります。

本建物は地上9階建て、延床面積約42,000㎡、三次救急医療*4を提供する総合病院で、小田原市が国と共に推進する脱炭素先行事業の中核施設です。大型の病院でありながらカーボンニュートラル社会を先導する未来型病院を実現するため、当該病院に合致した省エネ効果の高い64項目の設計手法・技術を採用することで、国内最高レベルの省エネ性能を備え、ZEB Readyを達成し、CASBEEかながわでもSランクを達成しました。
当社はこれまで、建設会社・設計会社を範疇として、最多のZEB設計数を実現しています。今後は、病院を含むZEB達成が困難とされる様々な用途の建物においても広くZEBを実現することで、脱炭素社会実現に貢献していきます。

BELS認証でZEB Readyを取得
BELS認証でZEB Readyを取得
小田原市立病院完成予想パース
小田原市立病院完成予想パース
建築主 小田原市立病院
規模/構造 地上9階/鉄骨造
病床数 406床
延床面積 42,224.87㎡(本体)
工事期間 2023年12月~2026年2月
(2026年春開院予定)
設計 竹中工務店・内藤建築事務所設計共同企業体
施工 竹中工務店
監理 内藤建築事務所

小田原市立病院におけるZEB Readyへの主な取組み

上述した総合病院の特性を分析した結果、病院のZEB化における課題として(A)外気負荷が大きいこと(B)廃熱が多く年中冷温熱が必要であること(C)大容量の設備システムに伴い低い運転効率となること、の3点に課題の焦点を当てました。これらを解決する設計技術として、夜間モード切替による病室の換気量の低減や共用部のCO2センサー等による換気量制御、水熱源ヒートポンプ、熱回収ヒートポンプによる空調の廃熱利用、運用に則した空調・換気の設備容量の設定などの省エネ技術・設計上の工夫を展開し、これらの課題に特化した省エネ技術のみで約30%の消費エネルギー削減を実現しています。
また、上記以外に屋上緑化やLow-Eペアガラスの採用、日射遮蔽による外皮負荷の低減、高効率空調機器、高効率照明の採用による省エネルギー化を図り、さらにマイクロコジェネや太陽光発電による創エネにも取り組むことで、合計57%削減を実現しています。

病院ZEBの課題・解決する設計技術・省エネ効果
病院ZEBの課題・解決する設計技術・省エネ効果
病院ZEBを支える主な要素技術
病院ZEBを支える主な要素技術
  • *1BELS(建築物省エネルギー性能表示制度):「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針」(ガイドライン)に基づき、新築存の建築物において、第三者評価機関が省エネルギー性能を評価し認定する制度。
  • *2ZEB(ゼロ・エネルギービル)の定義(経済産業省資源エネルギー庁)  ※いずれもコンセント負荷を除く数値で評価
    ZEB Ready:基準一次エネルギー消費量から再生可能エネルギーを除き50%以上の削減
  • *3BEI(ビーイーアイ):基準一次エネルギー消費量を1としたときの一次エネルギー消費量の割合
  • *4三次救急医療:一次救急医療(外来で対処しうる帰宅可能な軽傷患者に対応する救急医療)、二次救急医療(入院治療や手術を必要とする重症患者に対する救急医療)では対応できない緊急度が高く命に係わる重篤な救急患者に対応する救急医療