CLTを活用した大規模・高層建物に適用可能な耐震壁技術「KiPLUS WAVY」を開発~KiPLUS壁シリーズの第2弾が完成~

2024年11月5日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、CLT※1と鋼板を組み合わせ高い耐震性能を発揮する耐震壁技術「KiPLUS WAVY※2」を開発しました。高い耐震性能により大規模・高層建物にも適用でき、居室や執務エリアに耐震壁を設置する場合でも、木による快適性の高い空間を実現することが可能となります。

KiPLUS壁シリーズ

当社は、木材による付加価値向上技術として、従来の鉄筋コンクリート造や鉄骨造の架構の一部に木をあらわしで使用しながら、遮音・耐震性能などの一部を補完する設計技術体系「KiPLUS」シリーズを開発・展開してきました。
本技術は「KiPLUS」シリーズのうち「KiPLUS WALL」に続く壁ラインナップの第2弾となります。「KiPLUS WALL」はCLTを用いた耐震壁であり、比較的大きな地震力を負担する必要がない建物に適用することでより効果を発揮することができる技術ですが、「KiPLUS WAVY」はCLTと波形鋼板耐震壁WAVY※2※3を組み合わせて高い耐震性能を発揮させ、規模が大きい建物や高層建物、壁を配置できる場所が限られている建物等にも適用しやすい技術です。これまでの「KiPLUS」シリーズ同様、建物の用途や構造種別に関わらず採用することが可能です。CLTをあらわしで使用することができるため、階段やエレベーター等のコア周りに配置されることが多かった耐震壁を、居室空間に面する部分や外部から見える建物周囲に配置する場合、木による快適性の高い空間を実現できます。

CLTと波形鋼板耐震壁の写真

今後は、近年需要が拡大している中高層建物の木造化の可能性を広げることにより、「KiPLUS」シリーズをはじめとする当社の中高層木造技術を通じて、木造・木質建築の普及と国産木材の活用に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

  • ※1CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板):丸太から伐り出された板を各層互いに繊維が直交するように積層接着された木質建材
  • ※2KiPLUS、WAVYおよび波形鋼板耐震壁WAVYは竹中工務店の登録商標です。
  • ※3波形鋼板耐震壁WAVY:波形に折り曲げた鋼板に耐震性を持たせた鋼製耐震壁

「KiPLUS WAVY」(特許出願済)の概要

波形の鋼板と周辺の柱・梁フレームから構成される波形鋼板耐震壁WAVYは、2007年に開発して以来これまでに70件以上の建物に採用されている技術です。WAVYは、波形鋼板が大きな地震力を受けた際に急激に耐力が劣化してしまう座屈と呼ばれる現象を両面から山形鋼※4で挟み込むことにより抑えることで、高い耐震性能を発揮することができる耐震壁です。今回開発したKiPLUS WAVYは、波形鋼板の座屈変形をCLTと山形鋼により抑えた場合においても、従来と同等の性能が発揮できることを確認し、第三者機関(日本建築総合試験所)の技術性能証明を取得しています。

  • ※4山形鋼:L型の断面をした鋼材
従来のWAVYの構成
従来のWAVYの構成
KiPLUS WAVYの構成
KiPLUS WAVYの構成

本技術は2024年10月に着工した神戸学院大学有瀬キャンパス1号館計画にて採用を予定しています。

計画概要

計画地 兵庫県神戸市西区
用途 学校
階数 地上3階
構造種別 鉄骨造
工期 2024.10.15~2026.3.31
神戸学院大学有瀬キャンパス1号館計画


関連ページ

竹中工務店は建築に携わる者の責務として、柱や梁といった構造体(骨組み)に木を使う「木造建築」および内装や外装の仕上げに木を使う「木質建築」への取り組みを積極的に進めています。