鉛フリー放射線遮蔽ボード「RadBoard®-X」が耐火間仕切壁(1時間)国土交通大臣認定を取得-鹿児島大学病院新外来診療棟(A棟)の透視検査室に適用-
2024年12月09日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)は、吉野石膏(社長:須藤永作)と2018年に共同開発した鉛フリー放射線遮蔽ボード「RadBoard®-X」について、耐火間仕切壁(1時間)の国土交通大臣認定を取得し、鹿児島大学病院新外来診療棟(A棟)の透視検査室に適用しました。
RadBoard-Xは、医療・研究施設などで放射線を使用する部屋(放射線室等)に用いる壁用の内装材で、主にγ線とX線に対して優れた遮蔽性能を有します。従来の放射線遮蔽ボードに対して、鉛不使用、製造時のCO2排出量1/60以下、リサイクル可能といった利点があり、人と環境にやさしい内装材として2018年の製品化以来11件のプロジェクトに適用済みです。
一般に、建物は壁で防火区画※1を設けて耐火性能を確保する必要があります。そのため放射線室等の周囲を防火区画とする必要がある場合、放射線遮蔽ボードと耐火ボードを個別に使用することになります。壁厚が増して部屋の有効面積が減り、余分なコストが掛かることにつながり、諸室プランニングの自由度が低下する要因となっていました。
この度の耐火認定の取得により、RadBoard-Xが耐火ボードとしての役割を兼ねることができるようになりました。これにより、壁厚を薄くすることができます。
また、2018年に製品化したRadBoard-Xは15mm厚版のみでしたが、今回新たに12.5mm厚版をラインアップに追加しました。これにより、必要な放射線遮蔽性能および耐火性能に応じて、12.5mm厚版の2枚張りや、12.5mm厚版と15mm厚版の組み合わせ張りなど、厚みの豊富なバリエーションで十分な性能の確保が可能になりました。
これらのことから、従来仕様と比較して10%以上のコスト削減が可能となります。また、壁を薄くして放射線室等の有効面積を広げることができ、検査機器の設置自由度が向上します。
当社は今後、放射線を扱うあらゆる医療・研究施設において、新築からリニューアルまで幅広くRadBoard-Xの適用を進め、人と環境にやさしい鉛フリー・脱炭素社会の実現に貢献していきます。
放射線遮蔽性能を有する耐火間仕切壁の仕様例
RadBoard-Xの製品仕様
厚さ | 12.5 mm | 15 mm |
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重量 | 約38 kg | 約47 kg |
遮蔽性能※2 | 鉛当量1.2 mm | 鉛当量1.5 mm |
平面寸法 | W 910 mm × H 1,820 mm | |
含水率 | 3%以下 | |
ホルムアルデヒド放散量 | 0.1 mg/L未満(F☆☆☆☆) |
鹿児島大学病院新外来診療棟(A棟)の概要
設計 | 鹿児島大学施設部 |
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施工 | 竹中工務店 |
構造 | SRC・S・RC造、基礎免震 |
階数 | B1、F8、P1 |
建築面積 | 4,674.68㎡ |
延床面積 | 28,844.08㎡ |
工期 | 2020年3月~2024年1月 |
- ※1防火区画:火災発生時に炎や煙が建物内に広がって被害が拡大しないように設ける区画。一定の床面積ごとに設ける面積区画、階段やダクトなどを通じて他の階への延焼を防ぐ竪穴区画など
- ※2遮蔽性能:公設試験所による測定(X線管電圧100 kVにおける測定値)