技術
-KiPLUS®シリーズ-
従来からの当社保有技術である「燃エンウッド」シリーズ、「T-FoRest」シリーズに、「KiPLUS」シリーズを加えた3シリーズで展開し、中高層木造ハイブリッド建築の普及、国産木材の活用に取り組むとともに、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
新架構システム「KiPLUS(キプラス)」は、従来のRC造やS造の主架構に「木を付加」(キプラス)することで遮音・耐震などの性能を補完でき、これまで以上に木材活用を推進することが可能です。
中高層木造ハイブリッド架構システム「KiPLUS®」シリーズ
木の耐震壁「KiPLUS® WALL(キプラス ウォール) 」
「KiPLUS WALL」は、S造またはRC造建物のコア回りや住戸境などに木の耐震壁(CLT壁※)を配置し、CLT壁にも地震力などを負担させる架構システムです。架構システム全体で地震力に対する必要な効力を発揮することで、従来より柱や梁の断面サイズをスリム化し、計画の自由度が高まるとともに環境負荷の低減に寄与します。また、木材使用により、内装材として使用できる・施工性が良い、という意匠性や高施工性を付与することができます。「KiPLUS WALL」は第三者機関の構造性能評価を取得しています。
- CLT:直交集成板(Cross Laminated Timber)
木材を用いたCFT柱・鉄骨梁の耐火被覆「KiPLUS TAIKA(キプラスタイカ)」
木材を用いたCFT柱・鉄骨梁の耐火被覆「KiPLUS TAIKA for CFT」(特許出願済)と鉄骨梁の耐火被覆技術「KiPLUS TAIKA for BEAM」は、それぞれ日本で初めて「国土交通大臣認定 耐火構造部材(2時間耐火)」を取得しました。「KiPLUS TAIKA」は耐火被覆材として一般流通木材を使用しており、火災時には、耐火被覆材として巻き付けた木材が炭化を伴いながらゆっくり燃えてCFT柱や鉄骨梁への熱の侵入を抑制します。これにより、CFT柱と鉄骨梁により構成された14層までの建物において耐火性能が確保されるとともに、木あらわしの空間が実現できます。
「KiPLUS TAIKA for CFT」は、荷重支持部となるCFT柱の周囲にアングル・鋼板等を用いて一般流通木材を取り付け、木材と鉄骨の間の空気層が断熱性能を向上させる断面構成としています。
「KiPLUS TAIKA for BEAM」は、鉄骨梁の周囲にせっこうボードと一般流通木材を取り付けた断面構成としています。梁に設備配管用の貫通孔を設けることも可能です。
CLTとデッキ合成スラブを組み合わせた工法「KiPLUS DECK(キプラスデッキ)」
「KiPLUS DECK」(特許出願済)は、一般的な建物に多く使われているデッキ合成スラブ※の下面に取り付けたCLTの補強効果により、スラブを薄くしたり、デッキのスパンを最大で25%伸ばすことができます。その結果、小梁やデッキの板厚を削減し、資材量を減らして環境負荷を低減することができます。デッキとCLTを工事現場にて組み合わせるシンプルな施工方法を採用しローコスト化も図っています。
- 薄い鋼板を凹凸状に折り曲げたデッキプレートの上にコンクリートを打設し、一体的に荷重を支える床システム
CLTと「スパンクリート」を組み合わせた工法「KiPLUS SPANCRETE(キプラススパンクリート)」
「KiPLUS SPANCRETE」(特許出願済)は、プレキャストコンクリートスラブ※であるスパンクリートの下面にCLTを接合した床システムです。最大で10mを超える大きなスパンを小梁なしで掛け渡すことができ、CLTの補強効果により床の変形や・振動を抑制することができます。工事現場での取り付けが困難な大型のCLTも工場で取り付けることができ、大面積の木仕上げ天井を実現できます。「KiPLUS SPANCRETE」はスパンクリートコーポレーションとの共同開発です。
- コンクリート部材を設備の整った工場で製造し、現地に持ち込んで組み立てる工業化工法
CLTと現場打ちスラブを組み合わせた工法「KiPLUS SLAB(キプラススラブ)」
「KiPLUS SLAB」(特許出願済)は、CLTの上面に鉄筋を接合し、それを型枠としてコンクリートを現場施工してスラブを作る床システムです。鉄筋が補強材となることでスパンを大きくでき、仮設を簡易化できるため、ローコスト化を実現できます。コンクリート硬化後は、下面のCLTが床の変形や振動を抑制します。CLTの板同士の間に天井設備を取り付けるためのレールを組み込むことで、テナントの入替時にもCLTを傷つけずに設備・照明のレイアウトを変更することもできます。
KiPLUS®の主な受賞歴
2023 エンジニアリング功労者賞
適用事例
兵庫県林業会館(2019年竣工 5階建て KiPLUS® WALL(S造))
タクマビル新館(研修センター)(2020年竣工 6階建て KiPLUS® WALL(S造))
プラウド神田駿河台(2021年竣工 14階建て KiPLUS® WALL(RC造))
関連ページ
関連ソリューション
木造建築の大規模化・高層化を実現する耐火集成材-燃エンウッド®シリーズ-
関連リリース
2024.05.09 CLTを天井面に活用し温かみのある室内空間を実現する3つの工法を開発 ~KiPLUS®シリーズの第3弾 床への展開~
2023.10.16 日本初、木材を用いたCFT柱・鉄骨梁の耐火被覆技術「KiPLUS® TAIKA」で2時間耐火の認定取得 ~建物の耐火性能を確保しつつ、豊かな木あらわしの空間を構築~
2022.07.28 木による付加価値向上技術「KiPLUS®」を新たに展開