「モルトール®」 写真:北菓楼 札幌本館
歴史的建築物などの文化的に価値のある建物では、既存のタイルを廃棄せずに再利用することが、歴史的なデザイン価値を継承するうえで大きな意味を持ちます。しかし建物から剥がしたタイルの裏面には、張付け材料であるセメントモルタルが付着しており、タイルを破損させることなく、効率的に、かつ綺麗にモルタルを除去することが技術的な課題となっていました。
当社はタイル再利用技術「モルトール®」を開発し、1926年竣工の北海道庁立図書館をカフェ・菓子店舗に転用した「北菓楼 札幌本館」の改築工事に初適用しました。
歴史を感じる佇まいを守りつつ、路面店として再生しています。
「モルトール」は、タイルの優れた耐薬品性に着目した、独自のタイル再利用技術です。タイルに付着したモルタルを薬液で溶解させて綺麗に除去し、色や風合いを変えることなく、タイルの再利用を可能にします。
今後も当社では、歴史的建築物や、お客様の想い入れのある建物の保存・修復に、本技術を積極的に適用していきます。
技術概要
- ①タイル活かし取り
- ②薬液によるモルタル溶解
- ③タイル張り
の大きく3つのプロセスからなります。
最初に、既存建物から再利用するタイルを破損しないよう活かし取りします。次に、独自の設計式により最適な条件に調整した薬液に、通常2~4週間タイルを浸漬し、モルタルを溶解させることで、タイルを再生します。最後に、再生したタイルを部位や用途に応じた適切な材料・工法で施工します。
タイルリユース技術「モルトール」のコンセプト
タイルの薬液浸漬状況
「モルトール」により再生したタイル
受賞歴
2020年 | 日本建築学会賞(技術) |
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2016年 |
リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰「国土交通大臣賞」 資源循環技術・システム表彰「奨励賞」 建設リサイクル技術展示会「優秀賞」 |
2017年 |
BELCA賞「ベストリフォーム部門」 日事連建築賞「優秀賞」 |
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2016年 |
グッドデザイン賞 北海道赤レンガ建築賞 大賞 |
建物概要
建築地 | 北海道札幌市中央区 |
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設計・施工 | 竹中工務店 |
基本デザイン | 安藤忠雄建築研究所 |
竣工 | 2016年 |
面積 | 敷地面積885.8㎡ 建築面積537.32㎡ 延床面積1351.38㎡ |
階数 | 地下1階 地上4階 |