CARBON NEUTRAL CITY 2050

これまで建築単体で捉えてきた脱炭素社会への取り組みを、「人中心のまちづくり」と合わせて都市レベルで考えることでより効果的にカーボンニュートラルを達成する。

2050年にカーボンニュートラルな社会を達成するためには、建物単体でのZEB化(ゼロエネルギー化)やライフサイクルCO2ゼロなどの取組だけでなく、都市レベルでCO2を削減していく必要がある。気候変動への対応やコミュニティの維持などの様々な社会課題と合わせて「人中心のまちづくり」と両立してカーボンニュートラルを考えていくことを提案する。

01「環境地区計画」により街区や建物の配置を整えて風・光環境を改善する

2050年に向けて、建物の配置や規模を都市レベルで段階的に整えていくことで地域固有の風や光などの自然エネルギーを効果的に活用する。建物の配置を整えることで緑地などのまとまった公共空間を合わせて整備し、人々にとって快適な環境を創り出しながら街全体のエネルギー性能や環境を考慮した新しい地区計画として「環境地区計画」を提案する。

02建物の開口部を都市単位で制御して外部に快適な温熱環境を作る

戦略1で街全体が効果的に風や光の恩恵を受けられるようにしつつ、季節や時間帯によって変化する風や光をさらに細かく捉えるために、街中の扉や窓を都市レベルでコントロールしたり、建物が反射する太陽光の向きを調整する。複数の建物が一体となって自然換気を行ったり、人々が活動しているところに光を当てたりなど、人々が屋外で過ごしやすい環境を時間帯や季節に応じて整えることで屋内での冷暖房や照明などのエネルギー消費を抑える。

03都市のデータを活用して「人の行動」を促し、快適な場所へと導く

戦略1.2で地域固有の光と風を活用して都市に快適な環境を整備した上で、人々を導く「仕掛け」を都市の中に作る。都市の様々なイベントのスケジュールを風や光と共に調整したり、人々がくつろぐことができるベンチやテーブルなどのストリートファニチャーの位置や組み合わせを変化させたり、都市の余ったエネルギーを活用して涼んだり、暖が取れる場所をON/OFFすることで人々が外に出やすくし、自然と快適な場所に集まるように誘導する。

戦略1×2×3で人と都市を快適にする好循環へ

松岡 正明

中川 浩明