木質耐震ブレース(T-FoRest Light)による改修工事の実施~木材を耐震ブレース(筋交い)としてRC造建物の耐震補強に国内初適用~

2015年10月22日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:宮下正裕)は、京都競馬場グランドスワン(京都府京都市:1980年竣工)の改修工事の実施にあたり、木質耐震ブレース(T-FoRest Light※1)による耐震補強を国内で初めて鉄筋コンクリート(RC)造建物の耐震補強工事に適用しました。T-FoRest Lightは、木材の特性を活かした環境にやさしい耐震補強です。さらに、人の手で簡単に設置することができる、ローコストで居ながらできる改修を行うことが可能な補強工法です。※2

木質耐震ブレース(T-FoRest Light)
作業風景・全景・足元のディテール

T-FoRest Lightは、木材(集成材)をコイルばねの圧着力でRC造およびSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造の骨組内に固定する工法です。既存骨組への大掛かりな取付工事が不要になる点と、200mm角~300mm角の木材ブレースを手作業で簡易に施工できる点が特徴です。
一般的な集成材の圧縮強度は20~30N/mm2程度であり、一般的なコンクリートとほぼ同等です。剛性(ヤング係数)はコンクリートの約1/2となりますが、圧縮ブレースとして地震時に大きな耐力を発揮します。 改修前と同等の動線や視認性を確保できる工法でありながら、低騒音・低振動、短工期・ローコストを実現します。木材はその重量のおよそ半分が空気中の二酸化炭素から作られた炭素でできており、地球温暖化対策にも貢献します。

T-FoRest Light施工法の概要
T-FoRest Light施工法の概要
  • ※1T-FoRest Light
    日本の森を取り戻すために植林された木々が大きく育ち伐採時期を迎えています。これらの森林資源を活用し、経済活動の循環に取り込むことで大切な森を安定的に維持することができます。当社は、森林サイクル拡大に貢献する新しい木材利用の方法として、当発表の木質耐震ブレース(特許出願済 T-FoRest Light:軽量(Light)な材料で建物内に光(Light)を呼び込む)とともに、鉄筋コンクリート造(RC造)の耐震壁とほぼ同様の強度等を持つ木質パネル(CLT,LVL)を使った“耐震壁”補強工法(T-FoRest Wall)をT-FoRestシリーズ(商標登録出願済)として実用化しました。

    スギ材CLT(直交集成板)をRC造建物の耐震壁として改修工事に国内初適用
    https://www.takenaka.co.jp/news/2014/12/02/index.html

    国産材を用いたLVL耐震壁をRC造建物の耐震補強に国内初適用
    https://www.takenaka.co.jp/news/2015/07/01/index.html
  • ※2当該工法の適用につきましては、建物の耐震性能・構造の現状を調査した上でご提案させていただきます。

京都競馬場グランドスワン改修工事の概要

建物名称 京都競馬場グランドスワン
建築主 日本中央競馬会
建物用途 競馬場スタンド
階数 地下1階・地上6階・塔屋2階
建物高さ 34.0m
延床面積 121,283.20m²
構造種別 鉄筋コンクリート造
鉄骨鉄筋コンクリート造
一部鉄骨造
建物竣工年 1980年
耐震改修
設計・監理
設計:株式会社竹中工務店
監理:JRAファシリティーズ株式会社
耐震改修
工事施工
株式会社竹中工務店