低層建物における火災避難時の乗用エレベーター利用計画を国内で初めて適用
2019年7月30日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)は、国内初となる乗用エレベーターを利用した火災時避難計画を実施し、「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」に初導入しました。
従来の昇降機火災管制制御では、火災発生時に建物内すべてのエレベーターが避難階に強制的に着床し、機能を停止する制御となるため、エレベーター停止後、上階からの避難は階段を用いるしかなく、歩行困難者の避難安全性に課題がありました。そこで、大型ショッピングセンターである「サンエー浦添西海岸PARCO CITY」において、事業者であるサンエーパルコおよびエレベーターメーカーである三菱電機と協議・連携し、国内初の火災時における乗用エレベーター避難利用を計画し実施しました。
具体的方策としては、下記に記載の通り、火災が発生した防火区画及び、万一に備えその隣接区画のエレベーターは停止しますが、火災と関係のない区画ではエレベーターの利用を継続し、歩行困難者の避難を可能とする計画です。特に本施設は延床面積が220,000m2を超える大型ショッピングセンターであり、火災の影響を受けないエリアも広く存在するため、エレベーターを継続利用させることは避難上有用です。これにより、お年寄りや子供、体の不自由な方の避難を援助し、すべての施設利用者が円滑に避難できるしくみを構築しました。
- ・火災発生区画及び、隣接区画のエレベーターは停止するが、その他区画についてはエレベーターを継続利用することが可能。火災が広がるに従って、随時該当箇所のエレベーターを停止していく制御を実施。
- ・防火区画毎に消防活動拠点を設け、加圧給気による拠点の安全確保を行っている。
日本では2013年10月に東京消防庁から「高層建築物における歩行困難者等に係る避難安全対策」が発行されており、高層建築物の非常用エレベーターに限り、火災時の避難利用を許可されている事例はあります。しかし建物の大多数を占める中・低層の乗用エレベーターについては、火災時の避難利用を実施した事例はありません。
本件で計画した乗用エレベーターを利用した火災時の避難利用は、施設の安全性能を高めることができる取り組みであり、今後、大型商業施設に限らず、全国の大規模な中・低層建物において水平展開を図ることで、社会的ニーズであるユニバーサルデザインにマッチした施設づくりに貢献できると考えています。
建物概要
建物名称 | サンエー浦添西海岸 PARCO CITY |
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建築主 | 株式会社 サンエー浦添西海岸開発 |
建築地 | 沖縄県浦添市 |
建物用途 | 商業施設 |
構造種別 | 鉄骨造 |
階数 | 店舗棟:地上6階、駐車場棟:地上7階 |
延床面積 | 224,021.71m2 |
建物高さ | 29.65m |
設計監理 | 国建:(建築設計) 竹中工務店:(構造設計・設備設計) |
施工 | 竹中工務店・國場組・大城組・大米建設 特定建設工事共同企業体 |
工期 | 2017.7 ~ 2019.4 |