ハト・カラスを対象とするエア吹出し式の防鳥設備「TORINIX™」を開発~避雷導体と兼用可能で、建物の意匠性にも配慮~
2019年9月9日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)は、ハト・カラスを対象とするエア吹出し式の防鳥設備 「TORINIX(トリニックス)」(特許出願済)を開発しました。避雷導体※1と兼用可能で、建物の意匠性にも配慮しています。
建物に対する鳥害として、ハトによる糞害やカラスによる建材(シーリング材、シート防水、耐火被覆など)の破壊行為が問題となっています。今回開発した「TORINIX」は、センサーの検知により、一定間隔で設けられた微細な穴からエアや音を発生させ、ハトやカラスが好んで止まる屋上外周部のような休息場所への止まりを防ぎます。休息場所にハト・カラスを飛来させないことによって建物への定着を防止できることから、糞害や破壊行為に対する予防に繋がります。
屋上外周部には避雷導体が設置されることがよくあります。既存の防鳥設備では、併設された避雷導体と干渉して忌避効果が不確かなものになってしまうケースがありました。「TORINIX」は、避雷導体として利用できる断面積(70㎟以上)が確保された配管を利用して取り付けるので、防鳥と避雷導体、両者の機能を同時に満たすことができます。
また、スパイク※2やワイヤーなどの防鳥設備では、建物を見上げた時に屋上に立つ棘やワイヤー固定用ステイが視覚内に入ってしまい建物外観の意匠性を損なうという課題がありましたが、エアの吹出し管は屋上外周部(主に笠木※3上)に密着して取り付けるため、建物の意匠性を損ないません。
既存設備の多くは、薬剤や鋭利な器具等によって鳥を傷つけるリスクを孕んでいますが、本設備では室内実験による鳥への外傷などは確認されず、生物に優しい技術となっています。当社は今後、ハト・カラスによる建物や製造物、建物周辺の人への被害を抑えるため、工場、オフィスビル、商業施設などの建物に向けて本設備の幅広い展開を目指します。
- ※1落雷による雷電流を逃がすことで、建物を保護するもの。
- ※2スパイク:屋上外周部に取り付ける棘付きのワイヤーで、鳥の着地を防ぐ剣山状の防鳥設備。
- ※3笠木:石造建築などにおいて、壁の最上端にかぶせる石材。
本設備の特長
- ①建物の意匠性を損なわずに、ハト・カラスを対象とする防鳥対策が可能
- ②避雷導体と防鳥設備の両立が可能
- ③粘着性の高い薬剤や鋭利な器具などを使用しないため、生物を傷つけることがない
- ④公園付近などの飛来リスクの高い場所でも、ハト・カラスへの高い忌避効果を有する
本設備の特長
「TORINIX」の適用にあたっては、室内実験などによってハト・カラスの忌避に必要な風速(風速8m/s以上)を明らかにし、風速シミュレーションを行った上で、配管径や吹出し穴径、配管長等を決定しました。また、NIPエンジニアリング株式会社から避雷性能分野の専門的知見の提供を受け、配管断面積70㎟以上を確保し分岐端子等を設けることによって避雷導体としても兼用可能になります。
1年半に及ぶ実証モニタリングの結果、ハト・カラスの飛来を検知したケースでは100%の忌避に成功しました。また、設置後1年目と比較し、2年目はハト・カラスの平均飛来頻度が約75%減少したことから、設備への慣れによる効果低減も見られないことが確認されました。
なお、9月11日より東京ビッグサイトで開催されるフードファクトリー2019の当社ブースにおいて、TORINIXの実機を展示し、防鳥エンジニアリングについて説明させていただく予定です。
フードファクトリー2019に関してはこちらをご覧ください。
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当社は鳥対策だけでなく、食品・医薬品製造施設などへの昆虫の侵入を許容範囲内に抑える、薬剤によらないソリューションを提供しています。