再生医療の産業化を支える新施設「次世代CPCコンセプトモデル」を開発~モジュール単位での柔軟な施設変更を実現~

2019年11月18日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、近年急速にニーズが高まっている再生医療の産業化を推進する新施設「次世代CPC※1コンセプトモデル」を開発しました。モジュール※2単位での柔軟な施設変更の実現により、お客様のニーズに合わせてCPCを構築することが可能となります。

  • ※1CPC:細胞培養加工施設(Cell Processing Center)
  • ※2モジュール:細胞調製室、更衣室、パスルームを含む開発・生産諸室

本モデルは、急速に進化し続ける再生医療の開発・研究・生産設備の変化に対応する柔軟性の高い施設モデルです。建物をモジュール単位で構成し、大部屋化や複数室の連携など、お客様のニーズに合わせて柔軟に施設を変更できます。また、扉の開閉や人の移動による気流の影響を評価し、再生医療等製品・特定細胞加工物への汚染リスクを低減する安心・安全なバイオクリーン環境を構築します。さらに、柔軟な施設変更や定期的な維持管理・補修により、施設の稼働率を上げることができます。これにより施設の長期利用が可能となりトータルでコストを抑えることができます。

次世代CPCコンセプトモデル,細胞調製室内観パース
バイオクリーン・バイオセーフティ実験室

バイオクリーン・バイオセーフティ実験室

安全キャビネットでの気流可視化

安全キャビネットでの気流可視化

本モデルは単一企業の施設だけでなく、細胞加工受託企業やレンタルCPCなど複数企業が入居する施設への適用も想定しています。当社は今後、遺伝子治療薬など小ロットの生産施設へも展開し、再生医療を含む先端バイオ施設の産業化を支援していきます。

「次世代CPCコンセプトモデル」の特長

①将来変化に応える柔軟性の高いモデル
臨床研究から生産までの様々な将来変化に対して、柔軟性の高いモデルです。中心となる細胞調製室は、大部屋から小部屋への分割、および清浄度※3をグレードBからCまで設定できる構成であり、これらの切り替えを最小限の工事で実施できます。また、本モデルは細胞調製室、更衣室、パスルームを含むモジュール単位での構成となっており、稼働エリアに影響なく独立した増設・改修が可能です。このモジュールは複数つなげて使用することもできるため、ニーズに合わせて柔軟な研究・生産エリアの拡張が可能です。(特許出願済)

  • ※3医薬品GMP施設において規定されている室内清浄度の等級

②製品への汚染リスクを低減するバイオクリーン環境を構築
当社の技術研究所内に設置されている再生医療・創薬分野の研究拠点「バイオクリーン・バイオセーフティ実験施設」で実施した気流可視化実験などによる独自の実測データ・エビデンスに基づき、再生医療等製品・特定細胞加工物への汚染リスクを低減する高度なバイオクリーン環境を構築します。また、運用面においても培養操作モニタリング、行動モニタリングによる製品品質への影響評価、立地・建物・品質・セキュリティの多方面から施設リスクを評価するシステムなど、トータルで安心・安全な施設を構築します。

③長期間にわたり安定したバイオクリーン環境を持続
地震や経年劣化に伴う壁や天井の気密性能の劣化はクリーン環境の維持に影響を及ぼします。実験施設で培った気密性能確保・検証技術を適用し、長期間に渡りメンテナンスしながらクリーン環境を維持する仕組みを提供します。細胞調製室の周囲にメンテナンススペースを設けており、定期的な維持管理・補修や、地震後の影響確認や対処がしやすい施設としています。また、部屋免震※4の適用により重要な製品の地震リスク低減も可能です。

「次世代CPCコンセプトモデル」開発の背景

現在、再生医療の現場では、産業化に向けて均一品質の確保やコストダウンを目指した生産設備の自動化が日々検討されており、ロボットでの自動培養、複数の設備を連結したラインで構成される生産設備が開発されています。このような中、建物側においても、生産設備の変化に合わせて柔軟に変更可能なバイオクリーン施設のニーズが高まるものと思われます。
また、培養操作を行う安全キャビネット周辺は、空調や人の歩行、扉の開閉等で生じる室内気流にも配慮した室内環境が求められています。iPS細胞など長期間にわたり培養される細胞培養施設は、高度なクリーン環境を長期間に渡り安定して維持できる、より安心・安全なバイオクリーン施設のニーズが高まっています。