水素エネルギーを活用する新しいVPP制御システムを開発・実証~エネルギーマネジメントシステム「I.SEM®」で需給調整市場に対応~
2020年10月28日
株式会社竹中工務店
竹中工務店(社長:佐々木正人)は、2021年度から取引が開始される需給調整市場※1に向け、水素エネルギーを含む建物内の電源リソースを統合制御する新たなバーチャルパワープラント(VPP)※2制御システム(特許出願済)を開発し、実証を行いました。
当社が独自開発したエネルギーマネジメントシステム「I.SEM」※3では、これまで蓄電池、発電機、電気自動車など複数の電源リソースを統合制御し、VPPに対応してきました。
今回の開発では、再生可能エネルギーから製造して貯蔵することができ、脱炭素を目指した新しいクリーンエネルギーとして期待されている水素エネルギーシステムを、新たな電源リソースとして追加しました。
本システムは、電力網の電力不足時には電源リソースからの発電・放電を行い、また電力余剰時には充電を行います。これにより、お客様は電力会社・アグリゲーター※4からインセンティブを得ることができます。
当社のこれまでの水素活用への取り組みについては以下を参照してください。
- ※1需給調整市場:電力網において電力の需要と供給のバランス調整に必要となる「調整力」を取引する市場。発電事業者やアグリゲーターが提供する「調整力」を、一般送配電事業者が調達する。
- ※2バーチャルパワープラント(VPP):多数の小規模な発電設備や需要家の需要抑制を一つの発電所のようにまとめて制御を行うこと。「仮想発電所」とも呼ばれる。
- ※3「I.SEM」:電力システム改革後に想定されている多様な料金メニューに対応して電力デマンドを最適に制御することができる。
(https://www.takenaka.co.jp/solution/needs/isem/index.html) - ※4アグリゲーター: VPPにおいて、複数の需要家群による電力制御を束ね、一般送配電事業者や小売電気事業者と直接電力取引を行う事業者の総称。
VPP制御システムの実証結果
今回開発したVPP制御システムについて、経済産業省 平成31年度「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業」に参画し、TAK新砂ビル(東京都江東区)にて実証を行いました。本実証では、需給調整市場において要求される制御の速さや正確性を達成できることを確認しました。
これまでの「I.SEM」では、電力会社・アグリゲーターからの指令を受けて目標値を設定し、30分間の電力量をその目標値以下とするよう制御していました。本システムでは、需給調整市場のルールに従い、1分毎に受電電力を目標値の±10%以内に制御します。
今後の展開
「I.SEM」を用いたVPP制御システムの導入により、お客様が保有するBCP電源や電気自動車などをVPPの電源リソースとして最大限に活用することで、インセンティブによる経済メリットに加え、電力網安定化への貢献による再生可能エネルギーの増加など、ユーザーの脱炭素への取り組み拡大にも繋げることができます。
当社は今後も、水素エネルギーや様々な特長を持った電源リソースの活用により、需給調整市場を始めとする社会ニーズに応え、社会やユーザーの役に立つソリューションの開発を推進していきます。
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