パネルディスカッション第二回レポート

テーマ

カーボンニュートラルを目指した
竹中技術研究所の研究開発

日付・場所
2021年8月2日(月) 竹中技術研究所 大ホール
ゲストパネリスト
田辺新一氏
  • 田辺新一氏
  • 早稲田大学 教授
    一般社団法人
    日本建築学会会長
  • 谷村寧昭氏
  • 西里友志氏
  • 荒川純氏
  • NEDO環境部(Teamsで参加)
パネリスト
( 竹中工務店 )
  • 村上隆太

    村上陸太

    常務執行役員
    技術本部長

  • 高橋幹雄

    高橋幹雄

    技術研究所 所長

  • 椎葉隆代

    椎葉隆代

    エンジニアリング
    本部長

  • 鈴木重則

    鈴木重則

    東京本店 設計部
    マネージャー

発表・参加

技術研究所 副所長 奥田信康
東京本店 設計部 松岡正明、中川浩明
竹中技術研究所 脱炭素ワーキンググループ
(以下WG)
竹中工務店 有志社員(Teamsで参加)

ファシリテーター

シナジーマーケティング株式会社 
小川加奈子氏

※役職等は当時の名称を掲載しています

第2回 プログラム

1:田辺氏(早稲田大学 教授/一般社団法人 日本建築学会会長) 発表
「エネルギー基本計画(素案)と住宅・建築物の省エネ」

2:竹中工務店 発表
「設計部 CARBON NEUTRAL CITY 2050の紹介」

3:パネルディスカッション
「研究開発の方向性について」
・サステナブルカーボンサイクル技術
・人の体験価値向上と環境配慮の両立を目指した建築・まちづくり
・宇宙・フロンティアの活用技術
・一度使った部材を長く使う
・建造物にCO2を長期固定する

第二回では、第一回以降WGにてブラッシュアップしたアイデアについて、議論を行いました。

エネルギー基本計画(素案)と住宅・建築物の省エネ

発表者:田辺氏(早稲田大学 教授/一般社団法人 日本建築学会会長)

第一回のディスカッション以降の一ヶ月の動きについて、共有していただきました。

・7月21日発表 エネルギー基本計画の素案の解説
・再エネの導入見通し
・建築物の省エネ対策の強化 など

<ディスカッションより抜粋>

田辺氏「(到達水準の達成に向けて)太陽光への期待が非常に高い。我々は、太陽光を付ける設計が重要で、研究開発すべきだと思う」

椎葉「多くの建物では、屋上は設備の機械で埋め尽くされている。太陽光パネルが置けるようなシステムに変えていくか、屋上に置いていたものを建物の中に置くか。それによるマイナス面をどう技術でカバーできるかまで考えないといけないと感じた」

高橋「既存建物をどうするかという点も重要な課題。建築性能を上げるための予算を、国として確保してほしいところ」

*設計部 CARBON NEUTRAL CITY 2050の紹介

発表者:松岡(東京本店 設計部)

竹中工務店設計部より「未来の建築や都市像を社会に発信する活動」について紹介されました。

*「設計部 CARBON NEUTRAL CITY 2050」とは

・「モビリティの変革」がもたらす未来の都市像
・都市で達成するカーボンニュートラル など

<ディスカッションより抜粋>

松岡「建築や都市における脱炭素へ向けた提案を、具体的なビジュアルで示しながら社会に発信することで、さまざまな議論のきっかけになれば良いと考えている」

田辺氏「数字のやりくりだけでなく、このように、都市がどう変わっていくのかを見せるのは、とても重要」

村上「誰かが最初の一歩を踏み出して、引っ張っていく、その流れをつくっていかないといけない。江東区で活躍してる竹中工務店だからこそやる、というのは一つの手だと思う。最初は大変でも、考えていることに共鳴してくださる建築主と一緒にやっていかないといけない」

椎葉「都市レベルのエナジーハーベストも考えていかないといけない。今回の提案の中にどう取り込めるか、ディスカッションしたい」

研究開発の方向性について

発表者:川尻・和田・黒木・高津・山本(脱炭素WG)

第一回のパネルディスカッションを経てブラッシュアップした研究 アイデアについて発表し、さらに議論を深めました。

・サステナブルカーボンサイクル技術(川尻)
・人の体験価値向上と環境配慮の両立を目指した建築・まちづくり(和田)
・宇宙・フロンティアの活用技術(黒木)
・一度使った部材を長く使う(高津)
・建造物にCO2を長期固定する(山本)

<ディスカッションより抜粋>

田辺「『次世代太陽発電』のアイデアは魅力的だと思う。需要があるのではないか」

高橋「発表されたロードマップでは、実現予定が3年後、4年後に控えている。江東区の竹中工務店の周辺を巻き込み、実証事業を仕込んでいけたら良いのではないか」

椎葉「その技術が都市に対してどういう影響を与えるのか、都市で暮らす人々にとってどういう恩恵があるのかということを、しっかり肉付けしながら研究を進めていただきたい」

鈴木「木造は、RCと鉄骨とバランスを取りながら、いろんな使い方ができるようになるのが大事だと思っている。防災の研究も含めて使いやすくなっていくこと、法的な緩和を期待したい」

椎葉「(部材を)長く使っていく考え方は確かに大事。それだけでなく、なぜ長く使ってもらえないのかという視点で考える必要もあると思う」

議論が白熱したパネルディスカッション第二回。
最後は、田辺氏の講評で締めくくられました。

「私たち建築業界は、石炭エネルギー革命による恩恵を受けてきました。世の中は、その石炭エネルギーを変えようとしていますが、私は、ただ置きかえればいいのではないと思っています。建築自体が変わらないといけない。よいアイデアがたくさんありましたので、それを発展させて、統合させていければと思っています」

竹中技術研究所研究トピックス