耐火集成木材「燃エンウッド® CLT耐力壁」を開発~燃え止まり型の耐火構造耐力壁としては日本初の国土交通大臣認定を取得~

2021年02月03日
株式会社竹中工務店

竹中工務店(社長:佐々木正人)は、耐力壁として適用可能な耐火集成木材「燃エンウッドCLT※1耐力壁」(特許出願済)を開発し、これまで柱や梁として使われていた「燃エンウッド®※2シリーズに新たに追加しました。燃え止まり型の耐火構造耐力壁としては日本初となる、燃え止まり型の耐火構造(2時間)耐力壁の国土交通大臣認定を取得ました。燃エンウッド同様、「木現し」が可能です。

  • ※1CLT:木の繊維方向が直交するようにひき板を重ねて接着したパネル。鉄筋コンクリート造の部材より軽く、加工性・断熱性にも優れた厚みのあるパネル状の木材
  • ※2燃エンウッド®:当社が2011年に実用化した耐火構造の木造部材。

「燃エンウッドCLT耐力壁」は、CLTによる「荷重支持部」とせっこう系セルフレベリング材とカラマツによる「燃え止まり層」、木材による「燃え代層」の2層の耐火被覆層で構成する耐火構造の木造部材です。これまでの「燃エンウッド」シリーズである柱と梁は荷重支持部を集成材としていましたが、壁として使用するには縦横に長さが必要であることから荷重支持部にCLTを採用しました。
また、このたびの国土交通大臣認定取得により、地震力を負担する「耐震壁」だけでなく、建物の自重を支える「耐力壁」としてプロジェクトへの展開が可能となりました。

本製品の適用により、以下の2点が実現できます。

  1. 柱を用いることなく建物の自重を支えることができ、住宅やオフィスの開けた居室空間を実現します。
  2. 壁の表面を耐火被覆などで覆わない「木現し」にすることで、利用者に木材のぬくもりを与え、木質を基調とした意匠性を向上させます。
「燃エンウッド」
「燃エンウッド」
「燃エンウッドCLT耐力壁」
「燃エンウッドCLT耐力壁」

本製品は、国産木材のスギ、ヒノキ、カラマツをはじめとするJAS規格に適合するすべての木材使用が可能です。当社は今後、都市部の中高層建築に「燃エンウッド」シリーズを適用し、住みやすい・生活しやすいまちづくりの技術として展開します。また、政府の推進する公共・民間建築物等の木造・木質化に貢献し、国内の森林資源の循環を通じて環境問題の解決にも取り組んでいきます。

「燃エンウッド®CLT耐力壁」の概要

「燃エンウッドCLT耐力壁」は、厚さ90㎜以上のCLTを採用した「荷重支持部」と、せっこう系セルフレベリング材とカラマツで構成された「燃え止まり層」、JAS規格の木材の「燃え代層」の2層の耐火被覆層で構成されており、建物の自重を支える耐力壁の構造部材として用いられます。燃え代層から燃え止まり層までの厚さは100㎜としています。耐火性能を確保するために、当社は燃え止まり層に木材とせっこう系セルフレベリング材を組み合わせた断面構成で開発・実用化しました。

今回の耐火認定では、下記に示すA及びBの2パターンの仕様で認定を取得しました。A仕様では更に大きな建物の荷重を支えられるように、荷重支持部材のCLT壁を2枚とすることも可能です。また、B仕様では燃え止まり層を強化せっこうボード(GB-F)とすることができます。強化せっこうボード(GB-F)を用い、バリエーションを増やすことで、木以外の仕上げ材との組み合わせが多様となり、建物への適用パターンの広がりが期待できます。荷重支持部のみを木とし、両面をせっこうボード(GB-F)とすることも可能です。
柱及び梁の耐火要求性能は1時間(建物上部から4層)、2時間(建物上部から14層)、3時間(建物上部から14層以上)ですが、自重を支える耐力壁は2時間耐火認定を取得すれば、建物の階数に関わらず建物のいかなる耐力壁にも適用可能となります。

上から見た「燃エンウッドCLT耐力壁」の断面
上から見た「燃エンウッドCLT耐力壁」の断面