コラム

「万博に向けての機運醸成」

竹中工務店 万博推進室インタビュー

2023.11.1

誘致委員会の発足を受けて、竹中工務店では2017年10月に万博推進室を設置し、国や大阪府市を始めとした地方公共団体、経済界等と一体となって誘致活動に参画してきました。2018年11月の日本への誘致決定後は、社内外での機運醸成のために、万博推進室を中心に活動を加速させています。
2023年6月に夢洲現地での万博関連工事も始まった中、竹中工務店の取り組みや今後どのような活動をされていくのか、「万博推進室」 室長の河野常務執行役員に話を聞きました。

PROFILE 河野 修 株式会社竹中工務店 常務執行役員、夢洲開発本部万博推進室長 (2023年11月現在)
1982年入社、2008年からの大阪本店営業部長を経て、2018年より執行役員、2023年より現職。
*部署名・役職・インタビュー内容は2023年11月現在のものです。

機運醸成に向けた、万博推進室の設置

大阪では、2005年のオリンピック誘致で北京に敗れ、オリンピック開催を予定していた夢洲(人工島)の有効活用のためにも万博誘致の動きとなりました。国や大阪府市、それから経済界も含めて誘致委員会が組織され、竹中工務店も参画することになり、2017年10月に社内に万博推進室を設置することになりました。

河野:「竹中工務店は、EXPO70から万博にはかなり深い関わりがあり、大阪・関西で万博が開催されるとなれば、竹中工務店として精一杯取り組んで行くべしということで万博推進室を立ち上げて、誘致段階から出来るだけの協力をしてきました」

誘致活動の結果、大阪に万博が決定しました。そのときの思いは、いかがでしたでしょうか。

河野:「誘致する前から万博推進室の事務局長として活動していましたので、誘致が失敗したらクビかな、くらいのつもりでした。当社の東京本店、名古屋支店をはじめ、いろいろな場面で誘致活動に力を入れてきました。例えば、誘致委員会への当社からの出向社員を中心に様々なイベントを支援しながら、博覧会国際事務局(BIE)の幹部が候補国の視察に来た際には、東京駅や新横浜駅、名古屋駅、あるいはその視察団の方が泊まるホテルのエントランスロビーに横断幕を用意したりと、機運が盛り上がっていることを理解してもらうために様々なことに取り組みました。25年万博開催地の投票が行われたのはBIE本部のパリで、発表になったのは日本時間の深夜2時でしたが、オンラインでパリと結んだ会場で、大勢の関係者で発表を見守りました。最終的に大阪決定となったときは、もうみんなで万歳して、抱き合って喜びました。」

誘致決定後、当社の中での雰囲気や万博推進室に対する見方に変化がありましたか?

河野:「決定時点ではまだ7年先ということもあり、なかなか機運醸成は、簡単には進みませんが、55年ぶりに大阪で万博をやるんだ、と非常に関心が高まったと思います。また誘致決定後、当社がこれまでの万博に対していかに関与してきたかということをお伝えするために、エキスポ70からエキスポ2025へというリーフレットを作りました。リーフレットの表紙には70年万博で当社が施工したパビリオンの写真を載せています。70年万博で当社は約4分の1のパビリオン等を施工しましたし、その後の国際博覧会(セビリア、ハノーバー、上海、ミラノ)の日本館の全てを当社が手掛けているんです。竹中工務店が万博に本当に深く変わっているということをいろんな企業様や関係先にアピールすることが出来ました」

前回の万博であるEXPO70の当時はおいくつでしたか?

河野:「小学5年生でした。大阪が地元で、池田市に住んでいましたから、万博にはもう数回行きましたし、私が通った小学校にはトランペット隊があったんですが、それが万博のお祭り広場で行進したり、本当に万博はお祭りみたいな感じでした。私が一番覚えてるのは、ガイドブックを買うんですが、そこにはいろんなパビリオンが紹介されていて、実際のパビリオンに行くと出口にスタンプが置いてあるんですね。スタンプを集めたくてパビリオンの中は殆ど見ずに押して回っていました(笑)」

テーマ事業への取り組み

河野:それともうひとつ、当社として関わっているのがテーマ事業です。「シグネチャープロジェクト(いのちの輝きプロジェクト)」とも呼ばれていますが、展示パビリオンである「シグネチャーパビリオン」と、イベント「シグネチャーイベント」をリアル会場、バーチャル会場で展開するものです。各界で活躍する8人のプロデューサーが主導するもので、当社はそのうちのお一人である映画作家の河瀬直美さんの「いのちのあかし」に協賛をしています。「わたしのなかのあなた、あなたのなかのわたしに出会う場所」というコンセプトのもと、森をモチーフとしたシアターでの心の対話を演出しようとされています。 パビリオンについても、森や木、そこにある記憶などにも強く思い入れを持っておられていて、廃校となった学校校舎を移設して再構築、パビリオンとして再度命を吹き込むというとても壮大な計画を持っておられます。パビリオンの実現には当社は関わっていませんが、当社が考えている森林グランドサイクルへの取組みと合致している部分も多く、協賛を決めた経緯があります。
河瀬パビリオンへの協賛を通じて、竹中が取組む木造木質建築や森林グランドサイクルへの取組みを始めとした情報発信ができればと考えています。

今後の機運醸成活動

2025年4月の万博開催まで、あと約1年半となりました。今後も機運醸成が必要と思いますが、どのような取り組みを予定されていますか?

河野:「社内での情報発信では、デジサイやポスター掲示などはもちろん、イントラから万博推進室に入って頂くとお知らせを見て頂くことが出来ますが、ここで様々な関連のニュースを発信しています。社内での機運醸成もまだまだこれからだと思っています。また、社外に向けては、大阪、京都、神戸の主要な通りに面している当社の工事現場の仮囲いに、万博キャラクターのミャクミャクととともに “竹中工務店は2025年大阪・関西万博を応援しています” というメッセージを掲出しました。約10ヶ所に展開しましたが、今後のさらなる機運醸成をどう進めて行くかは、引き続き考えなければと思っています。」

当社としては、万博開催の2025年2月に、うめきた2期のグラングリーン大阪の中にオープンする安藤忠雄さん設計の新たなコンセプトのミュージアム(VS.)を全館借り切ってのイベントを予定しています。このイベントも万博を盛り上げるという意味もありますね。

河野:「その通りです。プレ万博みたいな形で、竹中工務店が大阪・関西万博でどんなことに取り組んできたかということを展示することになると思いますが、万博が終わった後のこと、つまり「アフター万博」について、竹中工務店らしい提案もできればと思っています」

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