大阪・関西万博で竹中工務店JVが施工を担当する「三菱未来館」は、建築主(三菱グループ30社)・設計者(三菱地所設計)・施工者(当社JV)が一体となり推進し、9月に無事、竣工しました。その中心的な役割を担う三菱大阪・関西万博総合委員会の事務局長および、事務局長代理の皆様に、「三菱未来館」における取り組みをお聞きました。
PROFILE:(2024年7月現在) 小美野 一 三菱大阪・関西万博総合委員会 事務局長 小谷野 由紀 三菱大阪・関西万博総合委員会 事務局長代理 下和佐 潤 三菱大阪・関西万博総合委員会 事務局長代理 *部署名・役職・インタビュー内容は2024年7月現在のものです。
三菱未来館の「いのち」をめぐるコンセプト
三菱未来館のコンセプトを教えてください。
小美野:三菱未来館は、「いのち輝く地球を未来に繋ぐ:Keeping the World Vibrant」をコンセプトに、「いのちの始まり、いのちの未来」「いのちの尊さ」「いのちの出会いと共に生きる奇跡」といった「いのち」をキーワードとした、「深海から宇宙へ、いのちをめぐる壮大な旅」を体験いただくパビリオンの実現を目指しています。
万博のテーマにもつながる大変素晴らしいコンセプトかと思いますが、コンセプト検討プロセスについて教えてください。
小美野:三菱グループとして、この万博にどのように臨むかを検討する三菱大阪・関西万博総合委員会を2021年4月に立ち上げ、3名が事務局として活動を始めました。本万博への出展に向けた基本構想の検討と博覧会協会への応募の結果、2022年2月に博覧会協会より、出展の内示をいただきました。私たちの応募案は、具体的な展示内容まで踏み込んだものとなっていました。
コンセプトを具体化する上で、施設や展示などのハード面と映像コンテンツや見せ方などのソフト面で苦労した点などあれば教えてください。
小美野:施設については、早い段階から竹中JVに参画いただき、設計者である三菱地所設計を含めて、力強いタッグを組めたので、ほぼ計画通りのものができそうですが、展示については、特にその見せ方やしつらえの部分で苦心しています。如何にお客様にリアルな体験をしていただくかという点ですが、本年9月にはその概要を発表したいと思っています。
三菱未来館は、建物を4つの大きな柱で支えた上で大きな地下空間をもっています。どのような意図での設計でしょうか?
小美野:三菱未来館は、地上2階建て、地下1階で縦に重層的な構成になっています。地下約50mまで打ち込まれた杭に支持された4つの大きな柱に浮かせるようにのせており、わたしたちはマザーシップと呼んでいます。地上2階部分を地面から浮かせた構造にしているため、他のパビリオンでは見られないような広大な地下空間が特徴となっています。その地下空間は地上に比べて、気温が3~4℃低い状態となっていますので、夏場には涼をとるような体験ができると思います。地下空間はフリーな空間になりますので、ちょっとした休憩場所として、より多くのお客様に来ていただきたいと思っています。
今回の万博は、お客様を並ばせないという方針が出されていますが、三菱未来館での取り組みはどのようなものでしょうか?
小美野:並ばせないという大方針のもと、パビリオンへの入場を時間単位で事前予約するなど、いろいろな対策がされていますが、実際のところは蓋を開けてみないとわからない部分があります。お客様が施設内を歩くスピードも人それぞれですし、わたしたちとしては、少しでも多くのお客様に見ていただきたいので想定通りの流れになるかどうかを来年2~3月のオペレーション検証期間中にしっかりと準備したいと思っています。
三菱グループと竹中工務店の繋がりを次につなげていきたい
弊社は、1970年の大阪万博をはじめ、日本国内での博覧会における三菱未来館の施工を担当させていただいています。今回も選んでいただいた“期待や想い”を教えてください。
小美野:今回の施設は、コンペティション形式で施工者を選定しています。応募いただいた中から、私たちが実現したいことを確実に実施いただける施工者として、竹中JVさんが最適との判断から、選定させていただいています。1970年の大阪万博から、継続的に竹中工務店への発注となっていますが、あくまで公正な選考プロセスを経ての決定です。
小美野:施設工事着工後は、竹中JVのスタッフの方々の取り組みに大変感謝しております。現時点まで無事故無災害で進めていただいていますし、前倒しでの竣工も見えてきています。過去の三菱未来館で先輩の方々が竹中工務店と築いてきた信頼関係や人と人との繋がりという大切な財産を、今回、私たちも引き継ぐことが出来たと思います。このバトンを次の世代に繋げて行っていただければと期待しています。
竹中JVの取り組みについてのご感想を教えてください。
小美野:月1回の竹中JVさんとの総合定例では、必ず事務局メンバーが、現地参加するようにしてきました。総合定例後には現地視察もさせていただき、作業所長はじめ、スタッフの方々にいつも元気に、にこやかに対応いただきました。やはり、現場の和と輪、チームワーク・雰囲気の良さが、安全・安心で順調な工事遂行の基本と感じ入りましたし、私たち事務局としても、安心感と信頼感の中で工事を進めていただきました。
下和佐:竹中JVの皆さまには三菱グループメンバーの現地視察を積極的に受け入れて頂き、参加した方が臨場感を持って体験することで、機運醸成に大いに役立っています。特に工事の進捗と共に、会場内のリアルな状況を実体験してもらうことで、グループ本拠地の集まる東京と大阪の距離を縮めることができていると思っています。本当にありがとうございます。
小谷野:竹中JVには三菱グループの万博関連の機運醸成活動にご協力いただいています。例えば、キリンビバレッジの万博支援自販機設置やローソンの万博会場内移動販売などでご協力をいただいています、施設工事が順調に進み1か月前倒しに竣工し、その分竹中JVとの関りの時間が短くなり寂しくなりました。
大阪・関西万博に来場するお客様へ
最後に、来年の大阪・関西万博では国内外から多くのお客様が来場されます。メッセージなどありましたら教えてください。
小美野:大阪・関西万博は、ポストコロナ禍でリアルに多くの人が集う国際博覧会となります。そうした多くの人が同じ場を共有する中で、特に来館いただける子供さんたちに、何か気づきを得てもらえたらうれしいです。例えば、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんと子供たちの3世代で、リアルな体験を共有する中で、人と人とのリアルな繋がり・コミュニケーションの中で何かを感じていただければと思います。
下和佐:先ほどもご紹介したように、三菱未来館は、暑さや雨にも強い施設構成になっていますので、幅広い年代の方に安心してご来館いただき、三菱グループがお届けする「いのち」にまつわる様々な想いを感じていただければと思います。是非、お待ちしております!
小谷野:万博は世界161か国の国々が集うイベントです。実際に来ていただければ、ドキドキ、ワクワクを感じていただけると思います。スタッフ一同、皆さまをお迎えする準備を着々と進めているので、遊びに行ってみよう!という気持ちでお越しください。お待ちしています。
*大阪・関西万博「三菱未来館」特設サイトhttps://www.mitsubishi.com/ja/expo2025/