養命酒健康の森 記念館
酒蔵の移築、保存、再生と活用
- 「蔵」の生かし方を、事業企画から設計・施工までトータルサービス
- 森との出会いとなる記念館を創出し、地域拠点施設を目指す
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お客様から求められていたもの
長野県伊那谷、中央アルプスの裾野に広がる自然環境のなかに養命酒の工場は位置します。養命酒は慶長7年(1602年)、この地で生まれた薬酒です。「人々の健康生活に貢献したい」という精神が、養命酒製造株式会社の経営理念になっています。
しかし、近年、かつて生活に浸透した養命酒ではなくなっており、薬酒文化に、それぞれの時代に相応しい新しい価値を加えながら、悠久に伝えていく責任があるという理念の元、提案を求められました。
そこで、既存工場が有する3つのオリジナル“森”・“蔵”・“生薬技術”を活用し、「健康生活支援型ファクトリー」を創出する、というコンセプトが評価され、展示計画の立案、飲食メニューや物販商品の開発にも踏み込んだ、企画から設計・施工に至るすべてを受注・実現いたしました。
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改修工事内容
“森”との出会いと“酒蔵”との対峙を利用したランドスケープデザイン
“豊かな森”へと続く散策路の出発点・終着点として記念館を位置付け、移築棟である“酒蔵”を自然と人間のインターフェースとしました。その際の増築等は、“森”と“酒蔵”をつなぐ中間領域として“人”と“森”の媒体機能を担っています。
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“酒蔵”の歴史性を強化するデザイン
2度の移築を経た酒蔵を再生するにあたり、内外装共極力手を加えないこととし、記念館に新たに置かれる展示什器等を現代的な仕上げで構成し、素材によって新旧の領域を明確化しました。設備計画としては、人が滞留する部分を中心に空調することで高効率で快適な室内環境を実現。また、酒造の歴史性に配慮し、“見せない設備”を展開しました。
増築棟は、木製ルーバーの水平天蓋の採用など、水平垂直を基調とした恣意性を極力排除した外観とし、2棟からなる記念館に統一感を与えています。
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地域拠点施設を目指して
地域貢献を重要なテーマと捕らえ、伊那谷地域の交流拠点となる記念館を目指し、都心からのビジターに森を引き合わせる場であると同時に、地元の方々が伊那谷の自然を再評価する場となることを願っています。
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プロジェクト概要 |
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用途(用途変更) | 記念館 |
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既存用途 | 倉庫(酒蔵) |
所在地 | 長野県駒ヶ根市 |
竣工 | 1930年(1961年に1度目の移築) |
工期 | 2005/07-2005/10(移築:2002年秋) |
建築主 | 養命酒製造 |
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設計 | 竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店、北野建設JV |
建築面積 | 509㎡ |
延床面積 | 441㎡ |
構造/規模 | RC・S 既存木造/地上1階 |