大型商業施設の仕上材
店舗全体の耐震性を考えた補強工事
構造体の補強を伴わない、非構造部材の補強工事の実施例を紹介します。
2007年に竣工した延床面積約11万m2の大型商業施設の店舗エリアの天井・防煙垂れ壁・設備配管などを一括して補強することを受命し、工事を実施しました。店舗利用者の安全を第1に考え、最新の知見を元に補強方法をお客様と協議して決定したものです。
補強工事の対象
補強工事は、非構造部材全てではなく、東日本大震災での被害事例などを踏まえて重点的に補強が必要と判断された箇所を対象としました。店舗内部のエリアによって、天井や設備の仕様、仕上部材・設備仕様が異なりますので、お客さまと協議しながら補強の対象やその方法をエリアごとに詰めていきました。
モール | テナント | 各店舗 | シネコン | 車路 | ||
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天井下地 | 説所定の規模以上の天井に脱落対策 | ― | ||||
防炎垂れ壁 | 端部のクリアランス確保 | シート状の 製品に交換 |
― | ― | ||
天井内設備 | 配管 | 固定部分の補強 | ― | ― | ||
空調機 | 所定の吊り長さ以上の金物の補強 | ― | ― | |||
排煙口 | ダクトとのつなぎ部分の補強 | ― | ― | |||
エキスパンションジョイント | ― | ― | ― | ― | 脱落防止 |
補強を行った箇所
仕上げ材の補強を行った例です。
補強箇所によって、お客様が仕様を決め当社に施工を指示されることも、当社が収まりを考案してご提案することもありました。このため、様々な仕様による補強を実施することになりました。
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天井排煙口の脱落対策
・排煙ダクトの吊上がり防止
アングル(L型鋼材)を吊っている吊ボルトの上からナットでアングルを押さえました。
・排煙口の脱落防止
排煙口を排煙ダクトにボルトナットで固定しました。
改修工事の作業は店舗閉店から翌朝開店までの夜間に行いました。
各エリアにて、ほぼ同時進行の改修工事作業を行い、工事着手から3か月弱で作業を完了しお客様の検査を受けることができました。
車路(スロープ)のエキスパンションジョイントの脱落対策
・塞ぎ金物の脱落防止
掛かり代を大きくして脱落を防ぎました。
・クリアランスからの脱落防止
下部にアングルを設け、受樋と兼用としました。
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